Sansan Innovation Award 2026

Bill One
Innovator

野村不動産ホールディングス株式会社

野村不動産グループは、住宅・ホテル、オフィスビル・商業不動産などの開発、不動産の仲介・管理などのサービスを提供する、総合デベロッパーです。野村不動産ホールディングスの資金部は、グループ全体の出納業務や会計システムの導入運用を担っています。Bill Oneを活用して同部だけでも年間9000時間以上を創出。現場が本質的な業務に向き合う時間を増やして、顧客に向けた新たな価値の創造を目指しています。

  • 野村不動産ホールディングス株式会社
  • 設立2004年
  • 従業員数9043名(2026年3月31日現在、連結ベース)
  • 事業内容株式の所有を通じたグループ会社の事業活動の管理及び経営指導

「なくす」が究極の効率化。
「業務をなくせないか」と、
考えることが大事です

受賞企業代表
今川 友博
野村不動産株式会社
オフィス・商業事業本部
芝浦まちづくり事業本部
インフラ・インダストリー事業本部
業務推進部長

現在の役割について教えてください。

2026年4月から、野村不動産の主要なBtoB事業であるオフィス・商業事業、新本社のある芝浦のまちづくり事業、物流施設などのインフラ事業の3つの事業本部の業務推進部を兼務しています。具体的には、法務、リスク管理、総務、ITシステムの保守・運用、業務効率化などを3本部横断で推進するとともに、バックオフィスと事業部門の橋渡し役も担っています。2026年3月までは、野村不動産ホールディングスの資金部に所属し、主にグループ全体の出納・会計システムの保守・運用を統括していました。

当時の経理業務の課題について教えてください。

大きな課題は、紙にまつわるアナログ業務と法改正への対応でした。特にインボイス制度や電子帳簿保存法への対応は重要なテーマだと感じていました。2025年8月に、グループの本社機能を「BLUE FRONT SHIBAURA」へ移転するまでに紙の書類保管量を一律8割削減するという目標を掲げていました。不動産業界は紙文化が根強く、経理は特に紙を扱う機会が多い部署です。そのため、紙の請求書や領収書をなんとかしなければいけないと以前から感じていました。

当時は、紙を見ながら同じ情報を正確に入力する必要がありました。時間がかかりますし、人間があまり得意ではない作業だとも思っていました。また、書類はすべて紙でファイリングしていたため、参照したい時にはキャビネットから探し出さなければなりませんでした。

だからこそ、法改正という外圧があるタイミングで新しいシステムを導入し、この機会に業務フローそのものを見直そうと決めました。そして20社ほどのシステムを比較した結果、最も効率的な業務フローを実現できるBill Oneの導入に至りました。

2026年にBill One Innovatorを受賞。本社機能の「BLUE FRONT SHIBAURA」への移転をきっかけに、紙の書類を扱う業務の見直しを推進した。

どのような点を重視されていたのでしょうか。

経理の立場で最も大きかったのは、Bill Oneが請求書を代理受領してくれることで、取引先に負担をかけることなく、すべてを電子で一元管理できる点です。他のシステムには、「この書式で送ってください」と取引先に依頼し続けなければならないものもありました。

Bill Oneは、従来通り紙で送りたいという取引先にも対応できます。送付先を変更するだけでBill Oneが代理受領し、データ化してくれるため、取引先に負担をかけずに業務を変えられる点が魅力でした。また、請求書業務には経理だけでなく、多くの社員が関わります。だからこそ、現場での使いやすさも重要な判断材料でした。UIは、マニュアルがなくても使えると感じるほど分かりやすく、その点にも魅力を感じました。

Sansan Innovation Awardの受賞を振り返ってみていかがですか。

率直にうれしいですね。

今回の受賞は、単にシステムを導入したことへの評価ではなく、業務を効率的なフローへ置き換え、それをグループ企業にも展開し、大きな変化につなげたことを評価していただけたのだと思っています。また、新しいチャレンジを受け入れてくれた役職員および資金部のメンバーにも本当に感謝しています。

現場に出納業務の負荷をかけず、事業に集中できる環境をつくることを意識して取り組んでいたのですが、評判は非常に良く、「便利になった」「楽になった」という声をたくさんいただいています。社内で直接声をかけてくれる社員もいて、反響の大きさを実感しています。

単純作業から解放され、「この業務は本当に必要なのか」という発想に変わってきました。

取り組みによってどのような変化があったのでしょうか。

資金部のメンバーが単純作業から解放され、「こうした方が良いのではないか」「そもそも、この業務は必要なのか」といった視点で考え、行動できるようになってきました。自分たちでより良い進め方を考える風土が生まれたことが、最大の成果だと思います。

システムを置き換えるタイミングはどうしても忙しくなるため、「これまでのやり方を新しいシステムで再現する」という方向に流されがちです。しかし、私たちはそうではなく、「理想の姿は何か」という視点で業務プロセスそのものを見直しました。

まず考えたのは、「時間がかかっている業務をなくせないか」ということです。なくせないのであれば、どこまで減らせるかを考えました。Bill Oneの導入をきっかけに、その考え方が部内に浸透してきたと感じています。業務を「減らす」というアプローチもありますが、「なくす」ことこそが究極の効率化なんですよね。もちろん、自分の仕事がなくなることを恐れる必要はありません。経理の仕事には社員を支えるサービス業としての側面もあり、その意味では改善に終わりがないからです。

「業務をなくせないか」というマインドが浸透したことで、資金部のメンバーが価値を発揮できる領域が広がってきている。

付加価値の高くない作業から解放されたことで、自分たちの効率化だけではなく、他部署の業務を一部引き取る取り組みも出てきています。これも会社にとって大きな変化だったと思います。

経理の仕事は、人事や総務とも非常に相性がいいんです。それぞれの領域の間にあるような仕事で、現在は人事や総務が担当していても、経理が担った方が効率的なものについては積極的に引き取って改善を加えています。この対応は、相手の部署からも非常に喜ばれています。

資金部は、従来より少ない人員でも効率的に業務を回せており、他部署の支援までできているにもかかわらず、ほぼ残業がない状態を維持しています。これも大きな成果だと思います。

現在、私は法務やリスク管理の領域を担当しています。業務内容は経理とは大きく異なりますが、ガバナンスを担保しながら効率化を実現し、現場の人たちが本業に向き合う時間を創出するという考え方や取るべき行動は変わらないと思っています。今回の経験を、今の立場でも生かしていきたいです。

プレッシャーがなくなって
「そもそもこの業務は必要か?」を
考えられるようになった

菊池 友里
野村不動産ホールディングス株式会社
資金部 事務推進二課

業務の変化について教えてください。

産休・育休から復帰した時には、すでにBill Oneで請求書業務が進められていて、残業がなくなり、在宅勤務もできるようになっていました。環境が大きく変わっていて、本当に驚きました。私は資金部で、請求書の支払いやそれに伴う仕訳、納付書の支払い業務などを主に担当しています。育児の関係で時短勤務のため基本的に残業ができません。もし産休・育休前と同じ業務環境のままだったら、どうしていたんだろうと思いますね。

今は、Bill Oneなしでは業務が成り立たないと感じています。以前は、紙の請求書がどこにあるのかを探したり、現場から届くのを待ったり、同じ内容を何度も入力してチェックしたりすることに多くの時間を費やしていました。今振り返ると、とても非効率的な業務プロセスだったと思います。

月末は支払件数が非常に多く、請求書を早く処理しなければならない一方で、入力ミスは許されないというプレッシャーもありました。支払い業務に追われる日々が続き、それが当たり前になっていたんです。今思えば、当時は余裕がなく、効率化について考えることは後回しになってしまっていました。

ご自身の業務はどのように変わりましたか。

入力作業がなくなり、本当に楽になりました。データ化される内容がほぼ正確なので、チェックにもそれほど工数をかけずに対応できています。支払期日にも余裕を持って対応できますし、「間違えてはいけない」というプレッシャーからも解放され、安心して業務に取り組めるようになりました。

Bill Oneを通じて、「業務はここまで効率化されるんだ」「こんなにも便利に変えられるんだ」と実感しました。私自身も、「そもそもこの業務は本当に必要なのかな」とか、「もっと効率化できないかな」と考えながら仕事するようになったんです。現在は部内の新しい業務を担当したり、他部署の業務を引き継いだりと業務領域が拡大しています。

資金部の業務効率化のみにとどまらず、他部署が担当していた対応を引き取るなど、チャレンジを重ね、担当業務の幅を広げている。

今後の目標があれば教えてください。

時間ができたことでチャレンジ精神が芽生えたので、難易度が高い業務にもっと挑戦してみたいと思っています。大量の支払い業務に忙殺されていた頃よりも、楽しくやりがいを持って仕事ができるようになりました。これからも、便利なサービスを導入したり、新しい仕組みを作ったりと、資金部の一員としてチャレンジを続けていきたいです。

今まで当たり前だった
業務の多くをなくせる
イメージが膨らみました

仲 悠介
野村不動産ホールディングス株式会社
資金部 事務推進二課長

今回の取り組みによる成果や変化について、改めて教えてください。

さまざまな業務がなくなって、劇的に変わりました。2023年以降、順次、グループ内でBill Oneを利用する会社も増えていて、現在は10社に展開が進んでいます。1年間で32万枚の請求書をBill Oneで処理していて、資金部だけでも年間で9000時間の削減効果がありました。

私は現在、グループ会社を含めた会計基幹システムの運用保守、出納業務全般を担当しています。Bill Oneの導入時は実務担当者として、請求書処理業務に変革を起こせるシステムを選定するために、多くのシステムやサービスを調査していました。

当時、無駄な手順をなくして業務フローを整理していくという青写真だけはあったものの、それを実現できるサービスがなかなか見つかりませんでした。そんな中でBill Oneのデモを見て「イメージしたことはすべてできる」という手応えを感じることができました。利用を開始すると想像以上に使いやすく、これまで当たり前にやっていた業務の多くをなくすイメージがどんどん膨らんでいきました。

まず、紙の請求書を受領すること自体が大幅に減りました。Bill Oneの導入を機に承認フローの簡略化も進め、余計な承認のプロセスもなくせました。Bill Oneのデータ化精度は非常に高いので、修正作業も大幅に削減できています。取引先ごとに定義された初期値入力もあるので現場の入力工数もほとんどありません。支払い業務のほとんどの工程が効率化され、社員からとても感謝されています。

成果を生み出した工夫を教えてください。

BillOneと会計システムを自動連係させる仕組みを開発しなかったので、導入スピードはとても速かったと思います。連係は、資金部でCSVデータを加工する方法を採用しました。税コードの決定のような、現場のメンバーには判断が難しい対応は、あえて人手を介して資金部で取り込みデータを作成する際に行っています。

グループ内の浸透スピードについては、ちょっとしたことですが、説明会の動画を撮って共有するなど、社内では新しい方法を工夫として取り入れました。私たちが使いやすそうにしているのを見て、周囲も前向きに使ってくれていますし、実際にどのグループ会社でも経理業務のスピードアップが実現されています。ちなみに、Bill Oneを利用するグループ会社が増えているのは、毎月グループ横断で経理部門の共有会をやっている中で、「うちでも使ってみよう」という動きがどんどん出てきたからだと考えています。約3年で10社まで増えました。

今後の展望を聞かせてください。

効率的な業務フローを広めていくことで、全社員が重要なコア業務にもっともっと集中できる環境を作っていきたいと思っています。

そのほかにも、他部署と連携する動きとして、Bill OneだけではなくSansanも使って、社内の取引情報を組み合わせて、それを営業に使っていこうという取り組みも進んでいます。Bill Oneに蓄積されている取引の数量や金額などのデータは、営業活動の中でも重要な情報として活用できるはずです。そういった方向で、営業部門と協力してデータを活用していきたいと思っています。

DXで価値を創造し
お客様と社員の幸せを
両立させたい

塚崎 敏英
野村不動産ホールディングス株式会社
取締役兼執行役員 グループCFO

会社の概要と事業内容について教えてください。

野村不動産グループは、「PROUD」というブランドに代表される住宅のほか、オフィス、物流などの不動産の開発とともに、不動産に関連する各種サービスを提供する、総合デベロッパーグループです。野村不動産をはじめとして連結子会社は44社、グループ全体で9000名以上の従業員を擁しています。その中で野村不動産ホールディングスは、グループ全体の経営戦略・事業戦略の策定と、各グループ会社の経営管理を担っています。

2025年8月には、浜松町・芝浦エリアへ本社機能を移転しました。同じビルにグループ8社、約3500名の社員が集結し、より密接な連携の下で事業を推進しています。グループ各社の知見や機能を融合させることで、お客様への提供価値をさらに高めていくことを目指しています。

野村不動産グループ全体で、マンションや戸建てなどの住宅のほか、オフィス、物流など、さまざまな不動産を開発している。

今回の取り組みを改めて振り返ってみていかがですか。

Sansan Innovation Awardを受賞できたことで、私たちが進めてきた取り組みの意義や価値を改めて認識する機会にもなりました。現場の社員からも、「手間が減って助かった」「この取り組みを進めてくれて、本当にありがとう」という感謝の声も聞こえてきています。

これも、関わったメンバーがしっかり取り組んでくれた成果だと考えています。今後もさらなる価値創出につなげるため、この好循環を続けていきたいと思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

外部環境の変化に対応しながら、グループ全体がさらなる成長を目指していく中で、バックオフィス部門に求められる役割は高度化し、その業務量は着実に増えています。だからこそ、限られた人的資本をより付加価値の高い業務へ振り向けられる体制を構築していくことが重要です。

定型的な業務を効率化することで、それまで定型業務に追われていた時間を価値創造に取り組むための時間に置き換えることができます。そして、その時間を使って提供価値を最大化し、お客様の満足度を高めていきたいと考えています。

野村不動産グループにとってのDXは、お客様と社員それぞれの幸せを最大化させていくためのものです。DXによって価値を創造することで、お客様に幸せになっていただく。そして、業務効率と生産性を向上させることで、社員にも幸せになってもらう。この両方を実現していきたいです。

  • ※ ページ上の内容は2026年8月時点の情報です。