Sansan Innovation Award 2025
Sansan Innovator
INTERVIEW
- 日本通運株式会社
- 設立1937年
- 従業員数3万4299名(2024年1月5日時点)
- 事業内容自動車輸送、鉄道利用輸送、海上輸送、船舶利用輸送、利用航空輸送、倉庫、旅行、通関、重量品・プラントの輸送・建設、特殊輸送、情報処理・解析などの物流事業全般 および関連事業

営業支援ツールを
最大限に活用して、
営業変革を推進していきます
最大限に活用して、
営業変革を推進していきます
受賞企業代表
服部 有未加 氏
日本通運株式会社
アカウントセールス本部
セールスイネーブルメント部 係長
Sansanの導入による変化について教えてください。
日本企業の営業生産性は低いと言われていますが、当社においても同様の問題を抱えています。特に、営業情報の共有の仕組みが組織ごとに異なっており、それが生産性の上がらない要因となっていました。
そこで、2021年にSansanを導入し、情報共有の仕組みを全社で統一できるようになりました。Sansanの役割は、年々変化しています。導入当初は名刺管理ツールとして利用していましたが、次第にコンタクト機能を活用し、営業日報の入力も行うようになりました。そして現在は、Sansanを営業支援ツールとして再定義し、生産性を上げることに加えて、売り上げ拡大につなげるための営業変革に欠かすことのできない重要なツールとして位置付け、活用しています。
今では、Sansan に記録した情報を基に、案件に直接関係のない他支店が迅速に車両を供出するなど、組織 を横断した協業が実現しています。社内に蓄積された営業情報の可視化と活用により、従来は時間がかかっていた社内調整やリソース確保のプロセスを大幅に短縮できるようになりました。
さらに2023年にはセールスイネーブルメント部を設立。全国約5000名の営業パーソンがより効率的かつ戦略的に営業活動を行えるよう、Sansanの高度な活用に向けて取り組んできました。
こうした取り組みにより、営業に従事する社員一人ひとりが情報に価値を見いだし、情報を使っていくという行動パターンが定着しつつあります。
今回の受賞の対象となった取り組みについて教えてください。
Sansanの導入から3年が経ち、活用が進んできた今、当社の営業変革の経過をきちんと検証するために、投資対効果をしっかりと数値で確認しようと、営業ROIの計測を行いました。
定量面においては、Sansanが売り上げ拡大と生産性向上に想定以上に寄与しているということが明らかになりました。定量的な成果を測ることを目的として実施した営業ROIの計測において、自身が想像していなかった大きな発見もありました。コンタクトに記載された営業情報を見ることで、社内の営業パーソンがどのように顧客とコミュニケーションを取っているのか、その営業手法や話の進め方などを学び、自分のものにしているという意見があったことです。このように、定性面では、エンゲージメントの向上や、スキルの習得につながっていることが分かりました。


同社では営業支援ツール導入の際のステップを「取組認知」「利用定着」「本質理解」「高度活用」と定義し、営業DXを推進している。
営業支援ツールを活用して、成果を上げるには何が必要ですか。
当社では、各営業支援ツールにおいて、導入後のプロセスを4つのステップに分けて推進しています。それが「取組認知」「利用定着」「本質理解」「高度活用」です。特に肝心なのは、本質理解です。売り上げ・利益の向上といった成果を上げるには、営業支援ツールの本質を理解した上で、高度に活用していく人財を一人でも増やしていくことが大事だと思っています。
取組認知から利用定着までは、「促されて使ってみる」という方が多いのですが、実際に使っていくうちに、「本当に便利だな」「業務が楽(ラク)になったな」という実感が得られ、徐々に利用が浸透して、それを使って実現できることや、すべきことについて納得感を持つことが、本質的な目的の理解につながります。そうすると、営業パーソンが自律的に活用する場面が増えて、自然と高度活用にステップアップして、成果が上がると考えています。
3年連続でSansan Innovation Awardを受賞した感想はいかがですか。
本当にうれしいです。今回の営業ROI計測によって、投資対効果が具体的に可視化されたことは、これまでセールスイネーブルメント部が取り組んできた活動の成果と言えると思います。
私が以前在籍していた営業部は、提供したソリューションがお客様の課題解決につながれば、感謝の言葉をいただける機会も多くあり、成果を実感しやすい環境でした。一方、現在のセールスイネーブルメントの取り組みは、営業戦略における中長期的な視点が必要になり、日々の業務が自社の営業パーソンのためになっているかどうかを確認できる機会がそう多くありません。
しかし、今回の計測によってきちんと成果を可視化できたことは、セールスイネーブルメントの取り組みの意義を社内に伝える良い機会となりました。その結果、営業パーソンから前向きな意見をもらうこともでき、営業パーソンや会社への貢献意欲が高まり、自身の仕事へのモチベーション向上にもつながっています。


セールスイネーブルメント部は、設立以来「組織として継続的に営業成果を創出するための、人財育成を含めた広範な取り組み」を推進。
今後の展望をお聞かせください。
今後はSansanをはじめ、他の営業支援ツールについても徹底的に活用することで、当社の営業マネジメント変革を推進していきたいです。
われわれの使命は、営業支援ツール導入後のプロセスにおいて最終ステップとなる高度活用まで導き、継続的に営業成果を創出できるようサポートすることです。将来的には、営業パーソン一人ひとりが、セールスイネーブルメントのコンセプトを特に意識しなくとも、日々の営業活動の中で自然にそれを実践できている状態を目指しています。
そして、営業パーソン一人ひとりの行動が変わることによって、それが営業変革にもつながると信じています。



営業ROIの測定で
予想以上の成果が出たことが
われわれの励みになりました
予想以上の成果が出たことが
われわれの励みになりました
堀内 将人 氏
日本通運株式会社
アカウントセールス本部
セールスイネーブルメント部長
営業ROIを測ることになった背景と、その結果について教えてください。
既に、日々Sansanを利用している営業パーソンのほとんどが、その導入の目的を理解して活用できている状態だと感じていました。そこで、導入によってどれくらいの営業成果があったのかを具体的に調べてみようと、営業ROIの計測を行いました。
計測に当たり、営業パーソンへの実態調査を実施し、「Sansan を活用したことで売り上げにつながった」と答えた人を対象に、特定期間内に計上した売上総額を記載してもらい、算出しています。計算式の分母には3年間のSansanへの投資額を、分子には昨年の1月から9月までの間に創出できた利益額と、コスト削減額を置きました。
生産性向上については、営業パーソン一人当たり、月平均1.9時間の削減ができ、これを当社の営業パーソンの人数で換算すると、約1.6億円の削減が実現したと言えます。その結果、投資対効果が4.4倍に達しているということが分かりました。これは予想を上回る成果でした。
われわれ企画部門は、直接売り上げを生む部門ではありません。売り上げを生む営業に対して、どれだけ貢献できたのかは、今回のようなROIや生産性の向上の調査を通じた数字をもってはじめて評価できることです。ですから、今回の成果は非常に励みになりました。
今後は他のツールに対しても、データを蓄積して、同様の調査で費用対効果を測っていきたいと考えています。
その他、効果はどんなところに表れていますか。
全社で情報の共有が進んでいることは大きな成果です。これまでまったくつながりのなかった拠点や部署のメンバーとSansanを通じてつながり、新しい案件が獲得できたという事例も生まれています。
以前は、営業パーソン同士で情報共有をする文化がない会社でした。どちらかというと、情報は自ら取りに行くものではなく、「与えてもらうもの」という感覚だったように思います。それがSansanを導入したことで、誰でも、お客様に対する営業情報を簡単に共有・確認できるようになりました。そこで連携が生まれ、新しい案件の獲得につながるという、新しい文化が生まれたと感じています。
セールスイネーブルメント部では、導入からのプロセスも大事にしてきました。日々の営業活動で、何か困っていそうだなという時には、部のメンバー全員でその課題を共有しながら、意見を出し合って修正していく。そういう活動をチームプレーで続けてきたことが、営業パーソンからの信頼につながっていると感じています。


営業ROIの算定では、どれだけ売り上げ拡大に貢献したかを定量的に把握するのが難しく、何度も議論を重ねて計算式を定めたという。
今後のセールスイネーブルメント部の展望を教えてください。
ツールは、われわれのありたい姿を実現させるための手段です。営業パーソンが、ツール導入の本質を理解した上で高度な活用ができている状態に至るには、ツールを使う主役であるユーザーにより一層近づいて、意見を聞くことが大事だと思っています。
私たちと同じ志を持つ「セールスイネーブラー」、つまりセールスイネーブルメントの活動をさらに推進する伝道師を増やし、そのコンセプトが、社員一人ひとりのDNAになっているような世界を目指して、これからもし っかりと取り組んでいきたいと思っています。



お客様との打ち合わせが
効率的に進められるように
なりました
効率的に進められるように
なりました
板倉 亜実 氏
日本通運株式会社
ロジスティクスビジネスユニット 東京支店
ロジスティクスオペレーション部 城東営業課
Sansanを活用したDXの取り組みによる変化を教えてください。
私は普段、多くのお客様の原材料や製品の在庫を保管する拠点である営業倉庫で、主にオペレーション業務を担当しており、入出庫の手配や在庫管理、お客様対応を行っています。お客様との打ち合わせの前に、Sansanに登録されている営業活動の情報を把握することで、業務の正確性や対応スピードが格段に上がりました。お客様との意思疎通がスムーズになったと感じています。
また、通常のオペレーション業務とは別に、新しい業務や、改善ポイントの提案を依頼されることもありますが、そういった場合も、Sansanにその要点が登録されているので、過去の記録を振り返って、お客様がどういったことを求めているのかを見つけるのに役立っています。お客様の情報を共有することで、部署を越えた横の連携が強化されたと思います。
他には、どんなふうに活 用していますか。
企業の情報を検索できる機能や、お客様とのやりとりをシミュレーションできる機能なども、新しい提案を行う前の情報収集にとても役立っています。
もしSansanがなかったら、部署を越えた仲間との情報共有を効率的に行い、社内で連携して対応することは難しかったと思います。


営業支援ツール導入における、目標に向かって目的を明確にする考え方は、「私が主将を務める社員剣道部の活動と似ている」と板倉氏。
ツールを使いこなすためのポイントを教えてください。
「何のために利用するのか」といった目的を理解した上で使いこなしていく必要があります。Sansanの導入から活用までを自分の中にスムーズに落とし込むことができたのは、導入の目的をきちんと理解できたからだと思います。
今後もSansanを日常的に使いながら、自分に合った使い 方を発見していきたいです。チームで仕事をする機会が多いので、社内での情報共有をより円滑にして、他部門の仲間とも連携しながら、活用の幅を広げていきたいと考えています。



営業支援ツールを
さらに高度に活用することで
継続的な成果創出を目指します
さらに高度に活用することで
継続的な成果創出を目指します
古江 忠博 氏
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
専務執行役員
グローバル事業本部長
一連の取り組みを振り返ってみていかがですか。
われわれがやってきたことが間違っていなかったのだと実感でき、非常にうれしく思っています。
受賞初年度は、Sansanをいかに利用定着させるかについて取り組んできた内容を評価いただきました。2年目は、さらにその本質的な部分を理解して、どう高度に活用していくかというところで評価をいただきました。そして今回、3年目は、導入の成果をどのように数値化していくかということに取り組み、営業ROIという具体的な指標を算出することができました。これについても評価いただき、本当にうれしく思っています。
営業ROIの計算式は、3年間のSansanへの投資額を分母に置いたのに対し、分子は9カ月間に限った利益額やコスト削減額を置いたもので、少しハードルを上げたのですが、それでも投資対効果が約4.4倍という結果が出ました。これはSansanが新たなビジネスの創出につながり、 売り上げ向上や利益創出に貢献できていることの表れだと感じています。
セールスイネーブルメント部を立ち上げて3年目を迎え、本社には20名の部員を置いています。さらに、全国に約5000名いる営業パーソン一人ひとりに取り組みを浸透させていくため、セールスイネーブルメント推進担当者を合計130名配置して、彼らを「セールスイネーブラー」として、この活動を広げていく役割を担ってもらっています。
一人でも多くセールスイネーブラーを増やしていくことで、さらにこの活動を活発化させていきたいと考えています。


営業ROIの計測結果で、社内でセールスイネーブルメントの取り組みに対する理解が促進され、さらに賛同者が増えることにも期待している。
今後の展望について教えてください。
当社のセールスイネーブルメントの取り組みについて、ここ数年、さまざまな場所で講演を行う機会をいただくようになりま した。その中で、日本のエンタープライズ企業の中には、当社同様、専任組織を設ける企業もあるなど、セールスイネーブルメントの実践により、営業成果を創出しようとする動きが少しずつ活発になってきたことを実感しています。当社だけでなく、日本全体に取り組みが広がっていることが、われわれの励みにもなっています。
一方で社内に目を向けると、セールスイネーブルメントのコンセプトが、現場の末端まで浸透しているかというと、まだまだ道半ばです。営業人財育成などの新しい領域にも着手して、個人のスキルを向上させていくような取り組みを通じて、個人の成長が会社の成長にもつながるよう、さらに積極的に取り組んでいきたいと思います。
また、AI技術の進化に伴い、営業DXの重要性はますます高まっています。ただ、営業支援ツールはあくまでもツールであって、いかに生産性を高めて成果を出していくかというところが本質だと思っています。その意味でも、導入する営業支援ツールの数も増えていく中で、投資以上の効果が得られているのかを計測する営業ROIの把握は非常に重要です。
営業ROIを高めるためには、魔法のような解決策はありません。何のために営業支援ツールを入れたのか、その本質を理解し、一つひとつ丁寧に取り組むことが不可欠です。さらに高度に活用を進め、継続的な成果創出に努めてまいります。


- ※ ページ上の内容は2025年8月時点の情報です。