Sansan Innovation Award 2022
Sansan Innovator BO Prize

INTERVIEW

株式会社日本ユニスト

日本ユニストは、関西を中心としたホテル開発や各種不動産開発を展開する総合不動産デベロッパー企業です。付加価値の高い不動産を提供するために柔軟な変化を続ける中で、生産性向上を目的としたDX推進に着手しました。導入してから約1年で、受領していた請求書の9割をBill Oneで受け取るようになりました。事務作業の工数が大幅に削減され、社員一人ひとりが本来の業務に集中できる環境が着実に整えられています。

  • 株式会社日本ユニスト
  • 設立2011年
  • 従業員数41名(2023年3月1日時点)
  • 事業内容不動産の企画販売・開発販売・収益サービス事業、地方創生事業、不動産コンサルティング事業、DX推進
interview

「営業の生産性を5倍にする」。
DXの始まりは、
このミッションを課されたこと

受賞企業代表
山口 和泰
取締役

受賞した感想をお聞かせください。

Sansan Innovation Awardへの応募は、今回が2度目でした。2020年に、Sansanを導入して2カ月で早くも名刺情報から物件が販売できたので、その成果をもって応募してみましたが、その年は受賞することはできませんでした。その後、Bill Oneを導入したことでDXがさらに進み、社員の働きやすさも大幅に向上させることができました。その結果を知ったSansanの担当者から後押しされたこともあって2度目の応募をしたところ、Sansan Innovator BO Prizeを受賞することができました。

DXを推進していくと、ITツールがあることは当たり前になってしまいます。常に改善し続けないと、特に社内からは変化を感じてもらいづらくなりますし、評価もされにくい。だからこそ、第三者から評価されたことは、大変うれしく思っています。私一人の力だけではなく、社員全員の協力があったからこその受賞だと考えていますので、とても光栄です。

熊野古道プロジェクトでは、宿泊施設を作ることで、観光ビジネスや雇用機会を創出。不動産を軸に地域創生に取り組んでいる。

取り組み前はどのような状況でしたか。

日本ユニストは、事業用不動産のノウハウを生かした地方創生や、ホテルの開発・運営といった新しい分野への事業展開も行っています。創業当時から変わらないミッションは「付加価値の高い不動産を提供し、社会に貢献する」。このミッションを大切にしながら、事業活動に取り組んでいます。

私がIT企業から転職してきた2019年、社長から「営業の生産性を5倍にする」というミッションを提示されました。このとてつもなく大きな目標を達成するためのビジョンとして、DXのグランドデザインを描いたのが、当社のDXの始まりです。

不動産業界は、DXが非常に遅れています。入社当時は全てがアナログでした。書類も全て紙だったので、社員が営業に出掛けると処理が滞り、退職者の引き継ぎの際には事業活動にも支障が出るような状況でした。経理業務については、誰が、いつ、どのタイミングで、どういった支払いを行うべきかが管理できておらず、全社的に不透明であることが課題になっていました。

「生産性5倍」と聞いて考えたのは、今の組織規模のままで売り上げを5倍にすること、つまり人を増やさずに売り上げをどう上げていくのか、経費をどう削減していくのかがポイントになるということです。そこでまず、日常的に使うコミュニケーションツールの統一に着手しました。社内外のやりとりに使っていたさまざまなツールを一つに絞り、標準化できたところでSansanを導入。そこから、いろいろなITツールの利用を推進しました。その後、新型コロナウイルスの感染拡大と同時期に経理担当者の東京転勤が決まったことから、請求書の処理を本社から離れた東京で行わなければならない状況になり、想定していたよりも早くBill Oneの導入を進めました。

社員一人ひとりがコストを省く意識を持つようになりました

特に注力したことを教えてください。

取り組みを始めた当時は、Bill Oneを導入していることを知らずに社員が請求書を紙で受け取るといったことがよく起きました。このような非効率なフローを発生させないように、業務フローを可視化して勉強会を開催することで活用方法を浸透させ、お客様へのアナウンスも徹底しました。

各部門との認識合わせも、丁寧に行うように心掛けました。営業部門においては、導入するメリットだけを伝えても、どのように成果に結び付くのかがイメージされないと活用もされず、結果として売り上げにもつながりません。バックオフィス部門においては、一人ひとりと面談を行い、時間を費やしている業務の透明性を上げることから始めました。業務品質がどれだけ上がり、新しい取り組みにどれだけ時間を割けるかを見極めて、Bill Oneを活用する効果を知ってもらうことが大切だと思ったためです。

取り組みにより、どのような変化がありましたか。

請求書をデータ化して環境をクラウド化できたこと自体が大きな成果ですが、リモートワークの実施による移動コストの削減も、「生産性5倍」につながる成果の一つです。社員一人ひとりも、効率性を重視しコストを省く意識を持つようになったと感じます。さらに業務の一部をRPA化することで、人にしかできない業務に専念できる環境も整ってきました。

取り組みを始めた当時は、社内には少なからずITツールに対する拒否反応がありました。今は、ITツールがあるのが当たり前、ないと不便という状況に変わってきましたね。

interview

こんなに時間が生まれるとは
思っていませんでした

⻲島 綾華
経営管理室

取り組み前と現在では、どのように変わりましたか。

私は購買や総務として幅広い業務を行っており、請求書をはじめとした書類の管理も担当しているので、Bill Oneをよく使用しています。Bill Oneの導入前までは請求書が全て紙で届いていたので、必ず出社をして対応していました。また、当時は紙の請求書を1枚1枚手作業でPDFにしていました。同じ作業は前職でも行っていましたが、前職と比べて扱う請求書の枚数が多く大変でした。単純な作業でもあるので、「このために出社しないといけないのか」という気持ちもありました。

Bill Oneの導入後は、取引先が直接アップロードした請求書を経理担当者が確認できるようになり、チャットツールで社内の担当者に請求書の提出を促すような一連の業務をBill Oneで完結できるようになったことで、業務が効率的になったことを実感しています。紙の受け渡しをする必要もないので、急な振り込み依頼に対応できるようになったことも助かっています。

請求書が届いたらすぐに確認や処理ができるようになり、経理担当者からも「支払いの対応が早くなった」という声が上がっているという。

今後はどのような働き方をしたいですか。

DXの取り組みが始まった当初は、うまく対応できるか不安に感じることもありましたが、実施後に得られるものがビジョンとして具体的に見えていたので、抵抗感はあまりなかったです。実際に請求書業務をオンライン化してみて、こんなに時間が生まれるとは思っていませんでした。

導入当時は、2023年10月からインボイス制度が始まることを知って、新しい制度を理解して対応しなければという焦りもありました。ただ、ちょうどBill Oneの効果を感じ始めていたタイミングだったので、インボイス制度の対応についてもBill Oneに任せればなんとかなると思えました。もし取り組みが進んでいなかったら、今すぐ一から勉強し直さないと対応が間に合わないと焦り続けていたかもしれません。

紙の請求書を処理する働き方には、もう戻れないなと思います。これからもBill Oneをうまく活用して、空いた時間で他の業務を行うといった効率的な働き方をしていきたいです。

interview

営業が本来の業務に
集中できるようになりました

石塚 夕貴
経営管理室 DX推進チーム

取り組み前はどのような状況でしたか。

不動産企画開発の営業事務、それに伴う支払い・購買業務、総務などを担当しています。これまでは、郵便物を開封してPDF化する、営業担当者に内容や対応期日を個別に確認するといったアナログな業務を行っていたので、処理が滞ることが多くありました。

請求書をオンラインで受け取ることになるとは、まったく想像していませんでした。不動産業界は、形を変えることへの抵抗感が強い業界です。DXのグランドデザインで見た「請求書のオンライン化」という言葉だけは頭にすごく残っています。その時は、手探りでやっていくしかないと覚悟を決めました。ただ、決まった型で対応を繰り返すことの多い業界の中で、DXを取り入れようという姿勢は斬新で、期待もふくらみました。必要なこととそうでないことが明確になったり、業務がスムーズに進むようになったりするのではないかと想像しました。

どのような変化がありましたか。

Bill Oneを導入してから約1年で、受け取っていた請求書の9割はBill Oneで受け取れるようになりました。Bill Oneを導入したタイミングは、ホテル運営事業や熊野古道事業が立ち上がった時期と重なり、取引先が増えていました。しかし、すでにITツールの導入がある程度進んでおり、ITが便利であることは分かっていたこともあって、1年程度で一気に紙からデジタルに切り替えられました。Bill Oneをはじめ、ITツールを活用することで購買や支払いの管理がフォーマット化され、営業担当者への個別の確認が不要になり、支払いの漏れもなくなりました。また、請求書をクラウド上で管理することで、ステータスや作業の履歴が確認できるようになったため、請求業務から属人性が排除され、突発的に対応が発生した際も他のメンバーが対応できるようになっています。

営業担当者も、本来の業務に集中できるようになったと思います。請求書に関しては「取りあえず石塚に」という流れができ、請求書に書かれた支払い方法や期日を伝えることもなくなり、すぐに営業活動に戻れるようになったのです。Bill Oneの仕組みを細かく把握していなくても、私がBill Oneで請求書を素早く処理していて、そのおかげで時間ができているという認識は少なからず生まれているようです。

運営しているホテルでも、請求書のアップロードや過去に受け取った請求書情報の検索などに活用しています。ホテルはオフィスから物理的な距離があったために、導入前は現地でしか対応できませんでした。Bill One導入後は請求書の処理もオフィスから対応できるようになりました。

今後、どのように取り組みに関わっていきたいですか。

私の所属しているDX推進チームは、営業サポートの役割も担っています。弊社の営業担当者は現在5名と少数精鋭なため、1日の訪問数には限界があります。Bill Oneを導入したことで請求業務などから解放され、限られた時間の中で効率的に営業活動を行えるようになっています。また、Sansanに登録された名刺情報の更新が通知されることで、取引先の人事異動情報など最新情報を効率よく得られています。今後は営業活動の品質を高めていくために、このような情報も積極的に現場で活用できるようサポートをしていきたいと思います。

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変化しないのは
鈍化しているのと同じ。
いいものは積極的に取り入れたい

田中 雅也
企画開発事業部 販売チーム 部長

取り組み前はどのような状況でしたか。

毎朝8時半に社員全員が出社して、対面で会議をしていました。ホワイトボードを使って、手元の紙を見ながらの会議です。アナログなやり方だとは感じていましたが、不動産業界はずっとこのままなのだろうと思っていたので、危機感はなかったです。業界を見渡しても、DXに取り組んでいるような会社にはほとんど出会ったことがなかったですから。最初、DXという言葉さえ聞いたことがなくて、「デラックスのDXですか?」と(笑)。

まさに、DXとは何かを知るところからのスタートでした。山口が将来を見据えたビジョンを打ち出してくれたことで、いつもの業務が変わっていくことが想像できるようになり、素直にワクワクしたのを覚えています。

営業担当者数は5名と少数精鋭。そのリソースをいかに確保するかという課題において、DXがもたらした影響は大きいという。

取り組みにより、どのような変化がありましたか。

Sansanを導入したところ、それまでは破棄していたような名刺の中から取引が生まれるという成果がすぐに現れました。それがきっかけになって、全社でDXの取り組みが本格的に動き出しました。情報の共有は速くなりましたね。以前は営業先から会社に戻り個別で情報を共有していたのですが、DXが進んだことによってリアルタイムに共有できるようになりました。

紙の請求書は、ほとんど目にすることがなくなりました。入力や経理担当者とのやりとりといった事務作業を大幅に削減でき、取引先からも「メール1本で完結できて手間が省ける」と喜ばれています。請求書業務のオンライン化は、営業にはそれほど関係がないと思っていましたが、今では大きな効果を感じています。とにかく業務が楽になったし、時間ができました。その時間は営業活動を振り返る時間として有効に使っています。以前の働き方にはもう戻れないですね。今から全てを紙ベースでやるとなったら、やり方が分からないと思うほどです。

今後の展望を教えてください。

実際に使ってみて、ITツールは非常に便利だと感じています。この価値をステークホルダーと共有することで、みんなが効率的に働けるようになり、より信頼感を持って共に事業を推進できる関係性を築いていきたいです。ホテルの開発・運営という新しい事業を始めたのですが、不動産とは収益構造が異なるので、構想段階でも多くの時間を費やしました。あの頃にDXの取り組みが進んでいたら、もっと早く関係者を集められて、円滑なコミュニケーションができていただろうと思うのです。

いいと思うものを積極的に取り入れる姿勢も大切にしたいです。日本ユニストは、市場が変化しているのに自分たちが変化していなかったら鈍化していることになる、というマインドを持っている会社です。DXも新しいこととして受け入れ、もっと営業活動に生かしていきたいです。

interview

不動産業界のDXを盛り上げる
パイオニアになりたい

山口 和泰
取締役

改めて取り組みを振り返っていかがですか。

DX推進において私が大切にしているのは、成果を出すことです。業務の利便性向上やリモートワークの実現も成果ではありますが、会社として取り組む限り、売り上げを上げて利益を出すことを常に意識しています。

このように考えると、DXはまだ3〜4割しか進んでいないという感覚です。IT化は8割ほど完了していますが、IT化とDXは別物。DXは、ITが業務になじんでいる状態だと考えています。例えば、ITとITをつなぎ、業務全体をDXするためいくつかの業務にRPAを導入しています。しかし、今はRPAによる結果を社員が1度は目視で確認しなければならない状況です。この作業さえもなくせたら、DXがまた一段階進むのではないかと考えています。

このようにITツールの活用が高度化すると、例えば、中途入社者が業務に慣れて活躍するまでの時間が大幅に短縮され、誰が営業活動をしても同じように利益を生み出せるようになります。これこそがDXの成果が出せた状態で、そこに至ることでDXのグランドデザインを描いた目的である「生産性5倍」を達成できるのだと思います。

今後の展望を教えてください。

不動産業界はレガシー産業と言われているだけあって、営業もバックオフィス業務もDXは進んでおらず、まだIT化さえ進められていない企業も多い状況です。そんな中でわれわれが先陣を切り、不動産業界のDXを盛り上げるパイオニアになっていきたいです。

DXを推進した先では、不動産業界全体の透明性が上がるはずです。「不動産を買いませんか?」と勧められたら、警戒する方も多くいらっしゃいますよね。それは不動産業界が属人的な構造であり、情報が開かれていないためです。情報が可視化されると、印象も変わってきます。DXにより業界全体の透明性を高めることで、投資を検討するお客様が増え、市場が広く活性化することも期待しています。

  • ※ ページ上の内容は2023年2月時点の情報です。