Sansan Innovation Award 2026

Sansan
Innovator

株式会社明電舎

発電・変電・送配電をはじめ、社会インフラを支える事業を展開する株式会社明電舎。長年培ってきた技術と、それを支える人の力を大切にしてきた同社では、部門を越えた情報共有の仕組みを整えるべく、名刺を起点とした顧客データベースの構築を目的に、Sansanを導入。全社での情報共有を円滑化し、商談準備の時間を30〜40%短縮するといった営業活動の効率化や業務の品質向上を実現しました。

  • 株式会社明電舎
  • 設立1917年(創業:1897年)
  • 従業員数連結 1万82名 単独 4195名(2026年3月31日時点)
  • 事業内容社会インフラ分野(電力・エネルギー、水インフラシステムなど)を中心とした各種技術・製品・サービスの創出

45万枚を超える
名刺のデータベースを、
AIに使っていきたいです

受賞企業代表
進藤 勝昭
理事
DX推進本部 副本部長 兼 業務改革推進部長

DX推進に取り組むことになった背景や課題を教えてください。

当社では部門ごとに情報を管理する文化が強く、営業や技術、生産、保守といった各部門が個別最適で動いていました。そのため、他部門と情報を共有する仕組みが十分に整備されていないことが大きな課題でした。2022年のDX推進本部立ち上げと前後する形で、情報共有の仕組みを業務改革として構築することを考え、まず取りかかったのがサプライチェーン全体の管理です。そして、次のステップとして出てきたのが、顧客情報をいかに効率的にデータベース化し全社で共有する仕組みをつくるかということです。

当社は社会インフラ事業を担っているため、お客様との関係性が10年、20年と長期にわたります。だからこそ、過去のやりとりや人脈情報を丁寧に蓄積・継承していく必要があります。しかし以前は、SFAを導入していても顧客情報の一元管理は実現できておらず、営業情報の共有やマーケティングの取り組みも十分とはいえない状況でした。そこで、全社で顧客情報を共有し、人脈やデータがつながる基盤づくりに取り組む必要があると考えました。

課題を解決するために、どのような取り組みをしたのでしょうか。

業務改革を進める上で、私が重視したのは「生産性向上とつながり」です。人がつながると、データや情報が伝わりやすくなり、そこに業務がつながることで、はじめて生産性が最適化する。そこには、DXが重要だと考えていました。

そこで私たちは、顧客データベースの構築・データ活用・活用の高度化という3段階のステップで、全社の情報基盤を変革していく構想を描きました。この構想はSansan導入時に計画したものですが、単なるツール導入ではなく、業務そのものを変えていくための設計図として位置付けました。

Sansanに対しては、ビジネスの接点である名刺を管理するサービスとして信頼感を持っていました。さらに、「出会いからイノベーションを生み出す」という企業のミッションにも親和性を感じたことから、部門を越えた情報連携の仕組みをつくるために導入を決めました。

導入当初の目的は、顧客データベースを確実に構築することでした。名刺を登録するだけでデータベース化できる仕組みは、マーケティング領域の取り組みが遅れていた当社にとって、最速で成果につながる方法だと判断しました。導入時には役員層の先行利用を重視し、実際に役員一人ひとりを訪れて名刺を預かり、登録を進めました。すると、従来の名刺の管理方法には疑問を感じていたという声も聞かれ、導入推進の支援者が現れるようになりました。

現在は、地方拠点の営業担当者の利用率が非常に高い水準で推移しています。本社の営業活動をリアルタイムで把握するために活用しており、部門を越えた情報共有の文化が根付き始めたことを実感しています。

Sansan Innovation Awardの受賞はいかがでしょうか。

正直なところ、受賞はまったく想像していませんでしたので、大変光栄に感じています。導入当初から、Sansanのさまざまな方々と一緒に試行錯誤を重ねてきました。その積み重ねが、今回ようやく形になったのだと思っています。

また、社内の利用部門の皆さんにも非常に感謝しています。働き方を変えるための仕組みづくりは働く人の一番の喜びにつながるので、今回の受賞を通じて、関係部門とともにSansanをさらに浸透させていきたいと思います。

来年2027年に迎える創業130周年には、多くのお客様や取引先様をご招待してイベントを開催する予定です。その際にSansanを使って集客やフォローアップをできるよう、準備を進めていきたいと思います。

本社がある大崎駅前のThinkPark Tower。大正2年に大崎駅前に工場を創設して以来、長きにわたって大崎という街の発展にも貢献してきた。

今後の展望を教えてください。

名刺の登録数は45万枚を超えました。名刺管理の仕組み自体はほぼ完成フェーズに入っており、今後はこのデータベースをどう活用するかが重要になります。現在は、Sansanの名刺情報と社内データを有機的につなげて、BIツールによるデータ活用を進めています。

今後見据えているのは、AI活用です。短期的にも中長期的にももう一段、利便性を向上できるのではないかと考えています。例えば、お客様との会話を自動でデータ化し、営業活動の履歴として蓄積・分析するような仕組みを検討しています。そうすることで、営業担当者は入力作業に時間を割くことなく、お客様との対話そのものに集中できるようになります。また、人と人のつながりから生まれる情報が全社で共有されることで、「こういう提案ができるのではないか」「別部署でも活用できるのではないか」という新しいアイデアが自然に生まれる環境をつくりたいと考えています。

当初計画した3ステップは、第1ステップは完遂、第2ステップはBIツールによる活用基盤の構築段階まで進んだので、第3ステップのAI活用で、さらなる飛躍をしたいと考えています。そして、次のステップへ進む中で、働き方をより良くする取り組みを進め、社内の皆さんの喜びにつなげていきたいです。

営業活動の
「見える化」と「再現性」が
飛躍的に高まりました

竹内 宏二
営業統括本部 統括部 部長

現場ではどのような課題がありましたか。

当社は全国に営業部門があり、案件や人脈といった情報共有に非常に時間がかかっていました。個人で管理していることが多かったので、どうしても埋もれてしまう情報があり、中には重要な情報が含まれていることもあります。そういった情報を効率的に集約して管理すること自体が、非常に大変だったと記憶しています。

案件の情報や知見も、データとしては十分に蓄積されていない状況でした。これまでは営業担当者が自分の経験をベースに営業してきたため、似たような案件があっても成功事例を共有できていなかったり、逆に失敗した事例を共有できていなかったりすることもありました。インフラ業界では特定のお客様と深く長くお付き合いするケースが多いので、データやその活用に目を向けられていなかったことも、情報が属人化していた要因の一つだと思います。

毎日のようにSansanを使っている営業担当者を多く見て、情報共有の重要性と、なくてはならないツールであることを実感したという。

今回の取り組みによってどう変わりましたか。

営業活動における「見える化」と「再現性」が、高まったと感じています。

お客様との接点情報について、営業部門に限らず、全社で共有できるようになりました。そして、全社の人脈や企業情報、過去の営業活動の履歴を事前に確認できるので、お客様にアプローチする際の参考になり、営業活動の再現性が高まっています。

また、これまでは担当者に聞かないと分からなかった情報が、タイムリーに確認できるようになりました。顧客情報や活動履歴の検索にかかる時間は、平均で30〜40%短縮されました。外出先からスマートフォンで情報を確認できるので、営業活動そのものも効率化されたと感じています。さらに、担当者が異動した際の引き継ぎがスムーズになり、情報確認や再調査にかかっていた時間を約3分の2まで削減できました。その分、お客様に対応する時間が増えたことは、大きなメリットだと感じています。

案件情報は数千件。
社内風土ができてきたと
感じています

大石 亮
DX推進本部 業務改革推進部 業務改革推進課 主任

取り組みを推進していく中で、どのような変化がありましたか。

営業部門だけではなく、さまざまな部門で情報を共有しながら活用する動きが広がってきました。

以前の営業現場では、部門間で情報が分断されていたため、進捗報告だけの会議が非常に多い状況でした。現在は、集約された案件情報を閲覧することで、最新の情報を共有できるようになり、お客様の満足度向上にもつながっていると考えています。

営業現場以外だと、Sansan導入の当初は、私の部門が登録を支援していました。例えば、展示会があれば、「Sansanに登録するデータをください」と社内を回ってお願いしていたのです。しかし最近では、「この名刺を登録してほしい」「メール配信に活用したい」といった相談や提案をもらう場面が増えてきました。また、メール配信の活用について、新規顧客開拓の機会が少ない当社が関連会社に教わるといった、グループ会社を含むコミュニケーションも広がっています。

集約した案件情報は数千件に上り、組織全体で情報を共有・連携する社内の風土ができてきたと感じています。情報連携が進んだことでコミュニケーションが活性化され、結果として業務の品質向上にもつながっています。

変化につなげられた理由は何でしょうか。

各部門の困りごとを丁寧に聞きながら進めてきたことだと思います。「他部門の情報が見えない」「状況確認に時間がかかる」といった声に対して、仕事の進め方自体を提案しながら、取り組みを推進してきました。DX推進に対する温度感は部門ごとに異なるため、各部門で協力してくれる人を見つけ、その人を中心に巻き込んでいったことも大きかったと思います。

お客様と接する際には、最新の情報に基づいたコミュニケーションができるようになり、顧客満足度が向上したと語る。

DXを推進する立場としての、今後の展望を教えてください。

蓄積してきた案件情報や過去の納入実績などを、AIを活用して分析できるようにしたいと考えています。例えば、案件同士の類似度を判定できるようになれば、過去の知見とこれから取り組む案件との関連性も見えやすくなりますし、部門ごとに進めていた取り組みの共通点にも気付けるようになります。

DXというとデジタル化のイメージが強いですが、仕事の仕組みを変えていくことが本質だと考えています。デジタルツールを導入することにとどまらず、効率化できた作業時間を、より深いコミュニケーションや本質的な仕事に使える環境をつくっていきたいです。そして最終的には、お客様へのサービス向上と社員の働きやすさ、どちらにもつなげていければと思います。

データ活用から
新しい価値を提供し続け
ファンを増やしていきます

宮澤 秀毅
常務執行役員 DX推進本部長

社会インフラを担う企業としての、使命について教えてください。

株式会社明電舎は、1897年に創業した電気機器メーカーです。電気エネルギーを軸に、発電・変電・送配電といった電力分野をはじめ、上下水道や鉄道、自動車関連など、社会インフラを支える事業を展開しています。

私たちが重視しているのは、単に機器を提供することではなく、その機器を長く安定的に利用し続けてもらうことです。インフラ設備には、時には30年以上利用されるものもあり、品質だけでなく、保守や運用を含めたライフサイクル全体で価値を提供していく必要があります。加えて、これからは少子高齢化による労働人口の減少など、社会インフラを支える現場にも大きな変化が訪れます。だからこそ、設備の遠隔監視やデータ活用など、DXによる新たな価値提供が不可欠です。

そこで2022年に、DX推進本部を立ち上げました。DXは、変化の激しい時代に柔軟に対応できる人材や組織をつくる手段の一つでもあると考えています。現在は、営業・技術・生産・保守といったバリューチェーン全体のデジタル統合を、グループ会社も含めて段階的に進めています。

業務改革においては、部分的な効率化のみならず、全社の視点で推進する動きが活発化し、さらなる成果が期待されている。

今後の展望について教えてください。

130年近くにわたって培ってきた「技術」とそれを支える「人」を共創力の源泉として、社会インフラを支え続ける会社を目指していきます。

これまでは社内の業務改革を中心にDXを進めてきましたが、今後は事業やサービスの価値向上にも展開していきたいです。例えば、電力設備の保守点検では、人が現場を巡視しながら設備状態を確認してきましたが、人手不足が進む中で、従来と同じ運用を続けることは難しくなっていきます。そこで私たちは、設備にセンサーやカメラを取り付け、遠隔で状態を監視できる仕組みづくりを進めています。こうしたデジタル技術を活用しながら、お客様の設備をより長く、安定的に運用できる環境を実現していきたいと考えています。今後はAIの活用も視野に入れながら、製品やサービスのさらなる高度化にも取り組んでいきます。

また、私たちは「技術」だけではなく、「人」も共創力の源泉だと考えています。DXの一環として進めてきたSansan導入ですが、その取り組みを通じて、人と人のつながりを支える仕組みを構築してきました。今後はデータを活用しながら、お客様との関係性をより深め、課題をいち早く解決したり、新しいお客様との接点を広げたりしていきます。そして、「このサービスがあるから明電舎を選びたい」と思っていただけるような新しい価値を提供し続け、明電ファンと呼ばれるお客様を増やしていきたいです。そうして信頼関係を積み重ねていくことが、社会インフラを支える企業としての価値向上と持続的な成長につながっていくと考えています。

  • ※ ページ上の内容は2026年7月時点の情報です。