Sansan Innovation Award 2025
Bill One Innovator
INTERVIEW
- フルサト・マルカホールディングス株式会社
- 設立2021年
- 従業員数108名(グループ総数 2010名)※2024年12月末現在
- 事業内容UNISOLグループの経営戦略策定・推進、グループ会社の経営管理、それに付随する業務

過去を追いかけるのではなく
経理業務で未来予測を提示して
グループをリードしたい
経理業務で未来予測を提示して
グループをリードしたい
受賞企業代表
吉川 継雄 氏
UNISOLビジネスパートナーズ株式会社
財務企画部 経理2課 課長
Sansan Innovation Awardの受賞を振り返ってみていかがですか。
大変うれしく思っています。経理の仕事は、経営者や営業部門のように、さまざまな場所へ出掛けて商談をまとめたり、売上をつくったりという華やかな成果が上がる仕事ではなく、地道にコツコツと正確かつ着実な業務を行うものです。今回の取り組みも、業務の延長線上で地道にやってきたことで、その成果がSansan Innovation Awardの受賞という形で認められたことは、驚きでもありました。
Sansan Innovation Awardの発表イベントと同日にはちょうど日本アカデミー賞の発表も行われていたんですが、最優秀作品賞をとった映画監督のスピーチが印象的でした。50年以上にわたって主役に斬られる役割に徹して「日本一の斬られ役」と呼ばれた俳優、故・福本清三さんの言葉を紹介していました。福本さんは、「たとえ華やかな仕事でなくても、真面目にコツコツと働いていれば、いつかは評価される」という話をよくなさっていたそうです 。経理の仕事も同じだと思いました。
全社の経理業務を担う立場で直面されていた課題について教えてください。
以前から、経理業務にはアナログな作業が多く、課題がたくさんありました。どうしても紙の請求書を扱わなければならなかった経理業務において、当時は仕分けや開封、上長への回覧など、アナログな業務が多かったんです。処理の途中で紛失してしまったり、経理への提出が遅れてしまい、取引先様への支払い漏れが発生しそうになるなど、課題が山積みでした。もし大きな金額の支払いが漏れることがあれば、正しい金額での会計処理ができず、決算に影響する可能性もありました。
また、当グループには子会社が多く、個社ごとに使っているシステムが異なっていたり、そもそもシステムを導入していない会社があったりする状況でした。グループ全体の決算を早期化する業務改革が求められる中、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を進める必要もありました。そのためには、全社統一で使えるシステムが必要だと感じて、Bill Oneを導入しました。


グループ全体で国内外に22の会社を抱えている。UNISOLビジネスパートナーズ株式会社はその主要会社のコーポレート業務全般を担う。
取り組みによってどのような変化があったのでしょうか。
Bill Oneの導入によって、前述の課題をおおむね解決することができました。もともと、グループ各社に業務を改善しようという意欲があり、積極的に協力してくれたことで、スムーズにBill Oneの導入と業務改善が進み、短期間で成果が出せたのだと思っています。
以前は業務時間の大部分をアナログな経理業務に費やしていましたが、今回の取り組みによって効率化がなされ、生まれた余力を経理以外の部門も含めた業務改善にも充てられるようになりました。経理というと、どうしても過去の数字を追いかけるような業務が多かったのですが、今後は、経営方針に影響を及ぼすような、未来予測に関するデータの提示にも力を入れていきたいと思っています。


グループ全体での、今後の展望をお聞かせください。
目下のところでは、一部残っている紙の請求書や、自分たちで受領・処理をしている電子請求書についてもBill Oneで受け取れるように動いています。
私が現在所属するUNISOLビジネスパートナーズ株式会社は、グループ全体の業務を標準化しDXを推進していこうという流れを受けて、グループの総務部、人事部、経理部の業務を一手に担うため、2025年1月に設立されました。
将来的には、当社のグループ会社間で発生する立て替え金の精算も、請求書のPDFをメールでやりとりする現在のやり方ではなく、Bill Oneを活用してグループ各社が必要な情報をお互いに見に行くという形を実現したいと考えています。また、間もなくデジタルインボイスの時代がやってきます。請求書を発行する側も、受け取る側も、共通の請求書番号を通じて支払い処理をしたり、入金後の消し込み作業をしたりするでしょう。双方ともに、さらに業務改善がなされていくはずです。Bill Oneはデジタルインボイスにも対応していますし、今運用している処理フローを変えずに各種の処理を進めることができるので、これからもどんどん効率化が進んでいく未来が見えています。API連携や、RPAの導入も積極的に行い、さらに生産性の向上を図っていきたいです。
Bill Oneは、グループ共通で導入した初めてのシステムで す。今回の取り組みによって紙の請求書がなくなり、変化を実感したことで、「自分たちでどんどん変えていこう」という空気が生まれているように思います。効率化のノウハウや改善の成功例を、グループに横展開することもできるようになりました。今後も請求業務に限らず、グループ全体の業務効率化をリードしていきたいです。



導入によって月間1960時間を削減。
さらなる業務改善に取り組みたい
さらなる業務改善に取り組みたい
大内 澪美伊 氏
UNISOLビジネスパートナーズ株式会社
財務企画部 経理2課
取り組み前の経理部門の状況について教えてください。
Bill One導入前の業務で、印象に残っていることが3つあります。1つ目は、大きな箱を持って各フロアを回り、紙の請求書を回収していたことです。その後は経理部門で仕分けしていて、作業が非常に大変だったことを覚えています。2つ目は、紙の請求書に記載されている金額を、Excelファイルに手動で入力していたことです。この作業もまた時間がかかっていました。
そして3つ目が、「読み合わせ業務」と呼んでいた作業です。入力した情報に誤りがないかどうかをチェックするため、経理担当者が2人1組になって、請求書原本の金額の読み上げとExcelのデータの突き合わせをしていました。この作業におおむね1~2時間ほどかかっていたと記憶しています。一気に読み上げていくので、終わるころには、喉がカラカラになってしまうこともありました。それに加えて、請求書の内容に確認が必要な場合には、グループ会社それぞれの担当者を個別にあたる必要があり、問い合わせに手間がかかっていたことも課題でした。
ご自身の業務はどのように変わりましたか。
かなり抜本的に変わりました。以前はグループ全体で、月に8500件ほどの紙の請求書を受領していましたが、今はほぼすべてBill Oneで受け取れるようになりました。しかも、その後の処理業務や、保管業務、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法対応についても、Bill Oneで対応できて、とても便利になったと思います。本社はもちろん、全国の営業所の請求書の処理状況をBill One上で把握することができるので、処理漏れがないかどうかを一元的にチェックできるようになりました。
経理の業務時間は、Bill Oneの導入後、月間で約1960時間削減することができました。特に、以前は時間がかかっていた請求書とデータの照合作業が早く終わるようになったので、その後の支払い業務は余裕を持って対応できるようになりました。それによって、万が一、支払金額に変更があったとしても、支払日までに修正できるようになりました。
もともと「請求書がペーパーレス化される」というところまでは想定していましたが、データを活用して処理漏れのチェックをしたり、請求書の読み合わせ業務をなくしたりできるというところまでは予想もしておらず、驚きでした。想像以上の変化がありました。同じ部署には子育て中の社員も多く、紙の請求書をなくしたおかげで時短勤務やテレワークの選択がしやすくなったことも、とてもうれしい変化です。


経理業務に要する時間を大幅に削減できたことで、グループ全体の業務効率化に取り組むことができるようになったという。
個人として、またチームとしての今後の展望を教えてください。
今後は、RPAを活用して、請求書情報の取得からチェック作業、そして通知までを自動化していくことを実現したいです。また、Bill One を通じて、デジタルインボイスを活用した業務にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。時間ができたことで、個人としてもチームとしても「デジタル化で、もっと現場の人たちを楽にできないか」と経理以外の業務でもさらなる業務効率化に取り組む余裕が生まれたんです。
実際に、私は昨年、5つのノーコードアプリを開発しました。例えば、スマホから押印を申請できるアプリです。従来、押印が必要な場合は紙のノートに直接手書きをして申請を行っていました。これをアプリで代替し、承認が回せる機能も付け加えることで、社員のスマホやパソコンからスムーズに申請・承認ができるようになったんです。
また、棚卸しの入力アプリも開発しました。以前の棚卸業務では紙の帳票を使っていて、商品1点ごとに在庫数量を手書きした上、押印も必要。帳票の枚数は年間で約4万枚に及び、各営業所に大きな負荷がかかる業務でした。スマホでQRコードを読み取って入力・確認できるようにデジタル化し、現在はそのデータを当社の基幹システムに直接取り込むことで、システムへの入力作業も効率化しています。これらのアプリの導入は、IT企画部や内部監査室などさまざまな部署の方と連携することで実現できました。
今後は、今回の経験で得られたコミュニケーションや資料作成のノウハウを課題解決に活かしていきたいと考えています。そしてこれからも、現場の人のためになる業務効率化の取り組みを継続していきたいです。



各社の違いを受け止めながら、
標準化のノウハウを定型化して
グループに広めていきたい
標準化のノウハウを定型化して
グループに広めていきたい
森田 泰生 氏
UNISOLビジネスパートナーズ株式会社
財務企画部 副部長
取り組み前にグループ全体で抱えていた課題について教えてください。
支払い業務は、他に比べて効率化が非常に遅れていました。さらに、グループ全体では、各社で支払い業務のやり方が異なることが課題で、なんとか統一していきたいと思っていました。ただ、なかなか突破口を見つけられずにいたんです。そんなときにBill Oneに出会い、ボトルネックになっていた支払い業務の効率化が可能になるだけではなく、いずれはグループのコーポレート業務全体を標準化していけるイメージができました。
実際に、どのような影響がありましたか。
経理業務のあり方が大きく変わりました。紙の請求書を処理するのに多くの時間がかかっていて、とても大変な作業だったのですが、それが完全になくなったことで、グループ各社からも変化を実感する声をもらっています。Bill Oneを使って既存の経理業務をデジタル化し、効率化できたことはもちろん、支払いに必要なデータを自動で出力して他のシステムに取り込むといった、その先の付加価値にもつなげていけるようになりました。
従来の業務がなくなった分、空いた時間でノーコードアプリの開発に向き合うなど、明らかに業務の質そのものが変わりました。アプリを開発しているのは、以前は請求書の受け取りや仕分け、開封、紙の請求書のファイリングなどの作業を行っていたメンバーです。かつてのようにアナログな作業に工数を取られるより、課題を解決していく仕事の方が楽しく、充実しているようです。そういう声を聞くと、Bill Oneを導入してよかったなと思います。


グループとしての今後の展望をお聞かせください。
今後はグループ全体にBill Oneを広げていきたいです。現在、Bill Oneを導入しているのはグループのうち7社です。振り返ると、今回採用した導入プロセスが、うまく機能したと思っています。まず核となる会社で先行して導入し、業務の効率化と標準化のノウハウを定型化。そこで作った理想的な標準フォーマットをもとにして、各社の要望に沿ってカスタマイズしながら導入先を広げていくという方法でした。
UNISOLグループは、文化の異なる会社が集まっているので、どうしても統一できない部分もたくさんあるんです。それでも、自分たちがどういう業務をしていきたいか、どういう形であるべきかを考え続けて、一つひとつの業務を標準化していきながら、働きやすい環境をつくっていきたいと思っています。



「叶えたい」があふれる社会を、
DXでより早く実現していきたい
DXでより早く実現していきたい
古里 龍平 氏
フルサト・マルカホールディングス株式会社
代表取締役社長
会社の概要と、事業内容について教えてください。
フルサト・マルカホールディングス株式会社は、フルサト工業株式会社と株式会社マルカが2021年10月に経営統合して誕生した持ち株会社です。メーカー機能を持つ技術商社として、機械工具セグメント、建設資材セグメント、建設機械の販売セグメント、IoTソリューションセグメントの4つのセグメントを持ち、他商社との差別化をしながらビジネスを行っています。過去の生い立ちや考え方が異なる2つの会社が経営統合するに当たって、われわれの経営理念を1つにして従業員の判断基準や求心力にすべく、統合ブランドとして「UNIQUE SOLUTIONS」を略した「UNISOL」を掲げています。
UNISOLビジネスパートナーズ株式会社は、国内外に抱える22のグループ会社のうち、特に多くの従業員を抱えるフルサト工業株式会社、株式会社マルカ、株式会社ジーネットの主要3社のコーポレート部門をまとめることを目的として2025年1月に設立されました。以前は、経理・財務・総務・人事・管理といった業務を、グループ各社がそれぞれのやり方で行っていました。それを統一して、合理化していくことで、経営統合によるシナジー効果を具現化していくことがねらいです。将来的にはコーポレート部門だけでなく、グループ全体の物流をUNISOLビジネスパートナーズ株式会社に移管するといったことにも取り組んでいきたいと考えています。
Sansan Innovation Awardを受賞された率直なご感想をお聞かせください。
今回の受賞は、私個人としても非常にうれしく思っています。これまで、グループ全社をあげてDX推進に取り組んできた中で、社員が自ら業務を見直してより便利なものにしていこうという考えや動きが定着している。それが、私にとっては誇らしいですね。今回も、吉川をはじめとする社員が自ら考え、他の代替サービスも含めて研究しながら、Bill Oneの導入を進めて、結果として非常に大きな果実を得ることができました。


改めて今回の取り組みを振り返ってみていかがですか。
まずは、大幅な工数の削減につながったということ、同時にそれを低コストで実現できているということは、非常に大きなインパクトがあります。請求書の1枚当たりの処理単価に換算すると、社内で処理するよりBill Oneに置き換えたほうが、大きくコストも下がって驚きました。
従来は、昔からやってきた方法やフォーマットで仕事をするように先輩社員から伝え聞いて、それを行うのが仕事だと考えられていたんです。特に若い社員はそうでした。それが間違いだというわけではありませんが、今回のBill Oneの導入は「言われた仕事をしっかりやる」にとどまらず、その仕事は何のためにあるのか、それがベストなやり方なのか、本当に必要なのか、といった本質を真剣に考えるきっかけとなる取り組みだったと感じています。
そして、Bill Oneによって請求書の処理業務を効率化できたことで、他部門においても、「自分たちがやっている業務も、違うSaaSやITを使って見直すことができるのではないか」という姿勢が生まれるかもしれません。そういう意味でも、今回の一連の取り組みと、受賞という成果は、私にとっては非常に大きいことでした。


今後の展望についてお聞かせください。
経営理念を具現化するためには、従来のやり方に固執せず、DXに取り組み続けることが不可欠です。それが、将来にわたって成長するための大きなチャンスを広げると考えています。デジタルツールをどんどん導入することで、相対的な優位性が確保できることは間違いありません。それと同時に、人的資本が強化され、仕事の質が向上することにも直接つながります。当社のビジョンは「『叶えたい』が、あふれる社会へ。」です。この中には、DXで実現できることがかなり多くあるのではないかと思っています。
当社が掲げる「『その手があったか』を、次々と。」というスローガンのように、お客様が今まで考えられなかったような提案を、われわれがどんどん届けていくことで、お客様自身が、「今まではこういったことはできないと思っていたけれど、もしかしたら違うやり方でこういったことができるんじゃないか」と、さまざまなことを考えられるようになるかもしれません。
「『叶えたい』が、あふれる社会」は、競争力が非常に高くて、成長を続けられる社会です。われわれはそういう社会を、より早く実現していきたいと思っています。


- ※ ページ上の内容は2025年8月時点の情報です。