Sansan Innovation Award 2026

Contract One
Innovator

第一実業株式会社

第一実業株式会社は、「時代の一歩先を行くモノづくりのパートナー」として、七つの事業を展開する総合機械商社です。法務部とデジタル戦略部で協働して、全社の契約書を一元管理すべくContract Oneを導入。契約データベースの構築によって、契約書にまつわる業務が大幅に効率化するとともに、会社全体の契約リテラシーも向上しました。

  • 第一実業株式会社
  • 設立1948年
  • 従業員数単体:725名 連結:1564名
  • 事業内容プラント及び機械器具の国内販売ならびに輸出入

法務だけでなく誰もが
契約書を情報資産として
活用できるようになりました

受賞企業代表
幸村 洋希
総務本部
法務部 リーダー

今回の受賞について率直なご感想をお聞かせください。

社外から表彰していただいたことで、私たちが進めてきた取り組みが、客観的に見ても評価に値することだったんだなと実感できました。私の普段の業務は、契約法務や機関法務、コンプライアンスという、事業の裏方を担ういわゆるバックオフィス業務であり、こうした賞をいただく機会はなかなかありませんから、とてもうれしかったですね。

また、今回は法務部が主体となって全社の契約書を管理しようという機運が高まった際、ちょうど同じタイミングで、全社のDXを推進しているデジタル戦略部からも、事業部門側で契約書を一元管理したいニーズがあると声をかけてもらいました。方向性が一致したことで、一緒に推進できたことも大きかったと思います。

取り組み前はどのような状況でしたか。

契約書は、各事業部門や法務部、または地方の支店など、契約当事者によって個別に保管されていたため、必要な情報にすぐにたどり着けず、「保管はされているが、管理方法が統一されていない」という状況でした。契約書を探してほしいという問い合わせがあれば、保管した本人に聞くか、キャビネットに探しにいくか、過去のことを知っていそうな人に聞くか、という状況でした。

実際に問題も発生していました。ある専門性の高い案件について、退職した従業員が主体となって締結した契約書を確認して、取引先との打ち合わせの前に条件を整理する必要があったのですが、原本がどこに保管されているのかについて台帳に記録が残っていなかったため、捜索にとても時間がかかり、苦労したことがありました。

契約書を見る必要がある時というのは、こうした差し迫った状況であることがほとんどです。しかし、打ち合わせまでに契約内容を確認して交渉のポイントを決めたいにもかかわらず、契約書がなかなか見つからなかったことから、交渉の土台を作ることができず、相手との話し合いに多大な時間を要してしまったこともありました。契約書があること自体は分かっているにもかかわらず、情報資産として活用できていない点は大きな課題だと感じていました。

営業の経験を生かし、現場の役に立つContract Oneの使い方を社内向けに発信。ログイン率が向上し、スムーズな利用定着につながった。

どんなことを実現したいと考えていましたか。

当社には創業78年で締結した膨大な契約書がありますが、それらを単純に保管するだけで、すぐに取り出して参照できない状態は、契約書がないのと同じです。まずはその状態を脱却し、契約書を一元管理してすぐに参照できるようにしたいと思いました。

また、Contract Oneを法務部だけが使うものにせず、全社で使ってもらえるようにすることも重視していました。以前は、事業部門で新しい契約を締結する際、担当者は各条件が当社にとって有利なのか不利なのか、また、それらの条件は一般的なものなのか業界の商習慣によるものなのかなどの判断をすることが難しく、法務部にレビューを丸投げすることがよくありました。しかし、社内に過去の契約書がたくさんある中で、例えば過去に締結した同じ業界の似たような案件の契約書が参照できる環境があれば、契約条件の判断基準ができ、大きな進歩になると思いました。

営業メンバーの意識が変わり、相談の質も変わった。社員のリテラシーが上がりました

社内にどんな影響や変化がありましたか。

まず、契約書を探す時間が大きく短縮されました。以前は、事業部門から法務部に「契約書を探してほしい」という依頼が月に1回程度来ており、法務部の書庫を捜索したり、関連部門の担当者に連絡を取ったりして半日から丸一日ほど時間をかけて探すこともありました。それが今は一瞬で確認できるようになりましたし、事業部門の方が自分たちで契約書を探せるようになったことも大きな変化です。

また、社歴や業務の経験年数を問わず、入社したばかりの社員であっても、過去の契約の履歴をすべてキャッチアップできるようになりました。当社が過去にどの会社と取引をしていて、どのような条件を受け入れてきたのかといった自社の判断基準が見えるようになったことも大きな変化だと思います。

約6800件の契約情報に容易にアクセスできる環境になったことで、社員の意識も変わりました。以前は「契約に関わる業務は、法務部の仕事だ」と捉えている社員も多く、何も分からない状態で相談されることもありました。しかし、現在は、Contract Oneにある情報を資産として活用することが当たり前になりました。たとえば契約更新の際、法務に相談する前に、事業部門のメンバー自ら過去の契約書を確認するというアクションを起こしてくれるようになりました。社員の契約に対するリテラシーの向上にも寄与していると感じています。

私は法務部の一員として契約法務に携わっており、内容の妥当性や修正案の相談を受けることがよくありますが、契約の当事者は法務部ではなく、実際にその案件に取り組む事業部門です。われわれは当社の立場に基づいた一般的なアドバイスや法的な解釈、リスクは伝えられますが、リスクを取ってでもやりたいプロジェクトがあることも理解しています。その判断を事業部門ができるように、法務リスクを適切に評価した上で意思決定を促せるようになりたいです。われわれも、過去の契約書から類似事例を持ってきて説明しやすくなりましたし、それを聞いてもらいやすい環境にもなったと思います。

今後の展望をお聞かせください。

Contract Oneに取り込んだ契約書は、一見するとただの無機質なデータの塊に思うかもしれません。しかし、そこには当然、過去に契約の締結に取り組んだ担当者がいて、交渉の結果良い条件で取り交わしたり、時には妥協したりしてきたはずです。

そうした過去の契約内容から条件を抽出して、当社として受け入れられるライン、交渉に力を入れたいライン、絶対譲れないラインといった基準を設けていきたいと考えています。これまではそれをベテランの社員の知識と経験に頼ってきましたが、これからは法務部としての当社のスタンダードを確立し、人事異動があっても同じ判断基準を維持できるよう、基盤を作っていきたいです。

また、AIの活用にも積極的に取り組んで、当社の判断基準を組織で共有し、契約書のレビューの標準化も実現したいです。これからも歩みを止めず、契約データベースのさらなる活用を推進していきたいです。

営業は取引条件の調整役。
契約に関する知見を
共有できるようになりました

髙木 豪
プラント・エネルギー事業本部
エネルギーシステム第一部 部長代理

営業部門では、どのように契約書を管理していましたか。

以前は、部内の共有フォルダとして利用しているオンラインストレージの中に契約書を保管していたので、確認が必要になった時は、どのフォルダにどの契約書が入っているのかを探すことから始めていました。当社には、お客様や仕入先様との間で締結した基本契約書をはじめ、多くの契約書があります。しかし、担当者によって格納方法が異なっていたりして、まず、契約書を探し出すのに多くの時間がかかっていました。

また、新たに契約を結ぶ際には、前回と比べてどの条件がどう変わっているのかを比較して確認するのに、大変な手間がかかっていました。

取り組みを通して、変化はありましたか。

もう、圧倒的に変わりましたね。締結済の契約書がContract Oneに集約されているので、まず、探さなくてもよくなりました。

取引先の名称で検索するだけで、その会社と取り交わした契約書が確認できますし、どの契約書が有効なのかも分かります。新しく契約を締結したら、そのたびに蓄積されていくので、前回からどこが変わっているのかという比較も非常に楽になりました。

また、商社という業種の特性から、定期的な更新が発生する代理店契約も多くあるのですが、契約の有効期限が自動でデータ化され、更新の1カ月前から2カ月前に通知が来るようになっています。これは非常にありがたい機能で、業務が立て込む忙しい時期に期限に気付いて慌てることなく、前もって準備をしておけるので、とても助かっています。

当社の営業メンバーは、一人ひとりの交渉力に強みがあります。契約書を探す業務から解放され、営業、顧客対応や交渉といった、本来やるべき業務に時間や労力を充てられるようになり、もともと持っている強みの部分に、よりフォーカスできているのではないかと感じています。

これから、営業組織をどのように変えていきたいと思われますか。

今後は、当社の比較的弱い部分でもある、契約に関する知見も補完していけると考えています。契約にリスクがあったとして、「今回は受け入れなければならない」とか「受け入れる代わりに、この条件を提示しよう」といった交渉・調整役をするのが営業部門だと思っています。

Contract OneにはAIも搭載されていて、契約書の内容について質問することで、どんなリスクがあるのか、理解を深めることができます。若手社員の中には、契約書に苦手意識があるメンバーもいますが、メンバーに「この契約条件でいいと思いますか?」といった質問を受けた際は、まず、「Contract Oneは見た?」と聞いて、確認した上での相談に乗るようにしており、若手社員の知識を深めることにも役立っていると感じています。

たとえば、「この条文が入っているとこういうリスクがある」といった知見は経験した人間にしか分からず、若手の営業担当者には判断が難しいことが多いです。しかし、過去の契約をデータベースとして蓄積して、それを使うことを習慣にすれば、そうした知見の共有ができるようになるかもしれません。そうすれば、会社としてより強くなれるのではないかと期待しています。

契約情報とCRMを
掛け合わせて
営業活動をサポートしたい

菱谷 雄介
デジタルイノベーションセンター
デジタル戦略部 部長代理

デジタル戦略部では、どのような課題を感じていましたか。

当社は、さまざまな部門で日常的にお客様と契約を交わす機会があります。以前は、それらの契約書が拠点ごとに独自のルールで管理されており、いざ確認したいという時に見つからない。最終手段として法務部に相談しても見つからない。このような問題が発生しており、日ごろの業務の中でさまざまな部署の方と話す中で、同じような課題を耳にする機会がありました。

また、仕入先様と独占的な販売契約を結ぶことがあるのですが、競合商品の取り扱いを制限するような文言が含まれることもあります。これまでは現場の知識や経験値でトラブルを防いでいましたが、必要な情報を見るべき人が容易に確認できないことにも課題があると感じていました。

現在、状況はどう変わりましたか。

過去の取引基本契約や代理店契約など、締結済の契約書をデータ化し、データベースを作ることができ、必要な情報を一元管理して、関係者で共有できるようになりました。特に各事業部門のアシスタントのメンバーは、上長からの「この契約書を探しておいてほしい」という一言で数時間を費やすこともあったので、これがなくなったことは圧倒的な効果です。

また、自分の担当している案件だけでなく、「誰かが締結した契約の内容を見に行く」という習慣も広がり始めているところです。こうした取り組みを続けていく中で、少しずつ、会社の文化が変わっていくと考えています。

DXを推進するためには、単なるデータ化ではあまり意味がなく、データがきれいにそろっているか、粒度がずれていないかといったことが非常に大切です。契約データを活用するというフェーズに進むための基盤作りが、実現できたと思います。

契約書の収集や運用ルールの策定などを法務部が。セキュリティー対策や保守・運用といったシステム面の整備をデジタル戦略部が担った。

変化を実現できた理由は何だと思いますか。

法務部と協力して、全社に向けた取り組みとして展開できたことが非常に大きなポイントでした。

当社ではこれまでもさまざまなDX推進に取り組んできましたが、Contract Oneの導入では、現場の困りごとと会社としてリスクと感じていることがしっかりとつながったと思います。加えてもともと契約管理に課題を感じていた法務部が主体となって、各部門での課題を耳にしたわれわれが伴走する——現場のニーズを起点として、同じゴールを見据えながら協力関係を築けたことも大きかったと思っています。

実は今期から、各事業本部とデジタル戦略部との合同プロジェクトを一斉に立ち上げ、本格化させようとしています。その進め方が見えた取り組みでもありました。

今後の展望があれば教えてください。

当社は営業AXサービス「Sansan」を長年利用しており、名刺データをSansan Data HubでCRMと連携させた顧客データベースがあります。今後は、この顧客データベースと、顧客ごとの契約情報が蓄積されているContract Oneのデータを連携させて、次の営業活動の一歩となる示唆を生み出すことにも取り組んでいきたいです。

DXやAI活用によって
第一実業そのものを
変えていきたい

上野 雅敏
取締役 常務執行役員 CSO

今回の受賞をどのように受け止めていますか。

受賞の一報を聞き、驚くとともに、非常にうれしく思いました。特に、今回の取り組みがDXの専門部門のみで進めたものではなく、契約業務を主管する法務部が主体となって進めたプロジェクトであったことに大きな意義を感じています。

法務部もデジタル戦略部も、普段は社内メンバーを対象に仕事をしており、顧客を対象とした対外的な活動は限定的です。今回の受賞によって、客観的に見ても価値のある取り組みだったと彼ら自身が思えることが、非常に良かったと思います。

そして、実際に社内の多数の契約書を読み込んだデータベースが構築でき、営業サイドからも非常に好評です。そうした社内の取り組みを、外部から評価していただいたことは、大変うれしいことです。

一連の取り組みを改めて振り返っていかがですか。

法務部の仕事が効率化されたことはもちろん、事業部門の社員も契約書を活用できるようになったことは非常に大きな成果です。

当社の特徴として、お客様の課題を解決する際には人と人のコミュニケーションを重視し、人海戦術で対応してきたところがあります。しかし近年は、ITツールを使い、そこで共有されている情報を確認することから始める、という形に意識が大きく変わってきていると感じます。

さらに、この取り組みをきっかけに、デジタル戦略部が、人事や経営企画、IRなどの現場に寄り添いながら、DXやAIの活用を併せて提案し、進めていこうとする機運が広がっています。会社が変わってきていると実感できる新しい仕組みの一つが実現できたという思いがあります。

会社として、今後どんなことに取り組んでいきたいか教えてください。

当社は、プラント・エネルギー、エナジーソリューションズ、産業機械、自動車、エレクトロニクス、ヘルスケア、航空・インフラの七つの事業がある、創業78年目となる独立系の総合機械商社です。「人をつなぎ、技術をつなぎ、世界を豊かに」というミッションのもと、世界18カ国、36拠点を構えるグローバルネットワークなどの当社の強みを発揮して、世界の製造業になくてはならない存在を目指している会社です。

現在、成長戦略「V2030」という長期ビジョンを掲げ、2030年までに2021年比で売上高や営業利益を2倍にしようとしています。そのためにはDX推進によって生産性を拡大していく必要があると考えて、積極的に取り組んできました。

私たちにとって、DXは、DJK(第一実業)トランスフォーメーション、すなわち第一実業を変えていくことを意味します。私は、DJKトランスフォーメーションはAIなくしては成り立たないと考えています。AIを活用するためには、まずはデータがあること。そして、そのデータの鮮度と精度が良くないと意味がありません。データはずっと使っていくものであり、自分が残す情報が他の人や次の世代の役に立つという意識が大事です。その意味においても、長年活用してきたSansanと今回導入したContract Oneで正確なデータベースを作ることができているのは良いことだと思います。デジタルのみならず、AIの活用に関してもより積極的に取り入れて、時代の一歩先を行く次世代型エンジニアリング商社を目指し、より強い会社になっていきたいです。

  • ※ ページ上の内容は2026年7月時点の情報です。