Sansan Innovation Award 2022
Sansan DIGITALIST Innovator

INTERVIEW

株式会社BSNアイネット

新潟県に本社を置くBSNアイネット。全国の自治体、医療機関、教育機関、民間企業などに対して情報システムの構築や運用サポートを行う一方で、新潟の地域課題解決に向けたソリューション提供やDX推進に注力しています。Sansanに登録した情報を、ビジネスデータの分析や可視化ができるBIツールと連携させることで、データに基づいた営業活動や経営戦略策定を実現。2020年から3年連続で、データ関連ビジネスの売り上げを倍増させています。

  • 株式会社BSNアイネット
  • 設立1966年
  • 従業員数402名(2022年4月1日現在)
  • 事業内容コンサルティング、システムインテグレーション、セキュリティマネジメント、ネットワークソリューション、パッケージソリューション、アウトソーシングサービスなど
interview

ツールを組み合わせることで
データ活用が
飛躍的に進化しました

受賞企業代表
南雲 智敬
経営管理本部 デジタル化戦略室 副部長

受賞理由となった取り組みについて教えてください。

データ活用の取り組みを始めた当初の目的は、営業力を強化することでした。統合された顧客管理の仕組みがなかったので、顧客や案件の情報が属人的に管理されており、機会損失を招いていることが課題でした。担当を引き継ぐときの効率も悪かったです。そこで、まずは名刺管理ができること、さらにはオンラインでの営業活動の手段を探る中でオンライン名刺の機能が非常に魅力的だったことから、2020年にSansanを導入しました。

Sansanに登録した案件管理の情報と顧客情報を組み合わせて見ることで、顧客のニーズやトレンドが把握でき、次の営業戦略が立てやすくなることは、想定通りでした。しかし、この分析結果をBIツールで可視化すれば社内に分かりやすく共有できるのではないかと思い付き、実際に実現したところ、社内でのデータ活用が飛躍的に進んだのです。一言で言えば、Sansanに登録した情報が「化けた」という感じなのかな、と思っています。

現在は、BIツールで可視化したデータを、さまざまな形式で社内に共有しています。それらが経営に関する会議や事業計画の策定でも活用され、取り組みを推進してきた成果を実感しています。データに基づいた営業活動やマーケティング活動が社内に浸透してきたこともあり、当社が展開するデータ関連ビジネスの売り上げは、ここ数年、倍増し続けています。

データに向き合う組織として「デジタル化戦略室」が創設されるなど、この数年で社内のデータへの意識は著しく進展した。

取り組みを進めるにあたり、どのような点を工夫しましたか。

ITをなりわいにしている会社なので、ITツールの導入に対する抵抗感は少ない方です。それでも事業部ごとにビジネスモデルが異なるので、最大公約数的にメリットが与えられる取り組みにすること、なるべく現場に手間をかけさせず誰もが活用できる環境を整えることを意識しました。

Sansanの導入後には、まず全社員に活用してもらえる環境を整えることに注力しました。初期設定とオンライン名刺の設定をきちんと行うようアナウンスするとともに、進捗を部門ごとに示したグラフを用いて、設定を促しました。

このやり方には、過去の失敗経験が生きています。営業支援システムを導入した際、活用を定着させられなかったことがあるのです。そこで今回はトライアルの段階から経営層にコミットしてもらい、現場に対しても、このツールがどう役に立つのかを丁寧に説明しながら浸透させていきました。やる以上は放置しない、という覚悟でした。

その後、SansanとBIツールの連携を進めましたが、BIツールで可視化したデータからは顧客の詳細な情報を把握できないため、Sansanに戻って詳細な情報を確認するためのリンクを埋め込んでいます。大きな視点の情報からドリルダウン的に詳細な情報が見られる仕組みを作ったことで、次に取るべきアクションが分かるようになりました。これも、化けた要因の一つだと思っています。

受賞を振り返っていかがですか。

以前は案件管理についても属人的であったため、重要な情報がメンバー間で共有されていなかったり、スピーディーに対応できなかったりするという課題がありました。次に取るべき行動や戦略も現場で漠然と決められてしまっている状況でしたが、現在はデータに基づいて意思決定する文化が浸透してきています。この文化をさらに定着させるため、案件に関連して集まったデータを各部門の現場レベルでも分析できるように、定期的な勉強会を開催しています。

「そのデータって、あのツールで見られるんじゃない?」という会話が、自然と会社の中で聞かれるようになってきました。私が所属するデジタル化戦略室という組織ができたり、経営方針の中に「データ活用」というフレーズが組み込まれたりするところから見ても、全社でデータを活用していこうという意識変革が進んでいることを感じています。

そんな中での受賞だっただけに、とてもうれしかったです。Sansanを軸にした取り組みを始めて約1年でこのような賞をいただけたのは、私一人の力ではなく、社員全員で取り組んだからこその成果だと思っています。

各種ツールとの連携による高度なデータ活用を短期間で推進したことが、Sansan DIGITALIST Innovatorの受賞につながった。

今後どのような取り組みを進めていきたいですか。

AIによって社内で自動化できるところは、どんどん自動化していきたいです。また、顧客データとAIを組み合わせ、さまざまな予測をしながら意思決定につなげる仕組みを作りたいです。お客様に向けても、AIを活用した新しいビジネスの形を提供していければと思っています。

営業部門向けには、マーケティングオートメーションによる自動化を進めたいですね。自動的にお客様の情報を集め、的確なアプローチを行う環境が実現すれば、営業担当者はよりクリエイティブな活動に時間を使えるようになります。

現在、社内向けのポータルサイトでは、案件の情報だけでなく、部署ごとの残業時間といった労務管理の情報も見られるようにしています。数字の羅列ではなく、データを目に見える形で示すことで、「なぜ?」という問いかけが生まれます。この気付きこそ、データへの意識を高めると考えているのです。今後は、パフォーマンスや成果に関するデータの分析も行っていきたいです。

新潟をはじめとした地方の企業ではDXが進んでいないケースが多く、それをフォローして一緒に進めることは、当社のミッションの一つだと思っています。これからもDXを軸にしながら、新しいビジネスやイノベーションをお客様と一緒にデザインすることで、地域社会に貢献していきたいです。

interview

名刺管理から案件管理へ
活用の幅が広がりました

小林 瑠
パッケージビジネス事業部 営業部 マネジャー

今回の取り組みによって、営業部門にはどのような変化がありましたか。

事業部内の情報共有が容易になったことで、営業部門やシステム部門から事務部門への業務指示がスムーズに行えるようになり、作業効率が大幅に向上しました。

私の所属するパッケージビジネス事業部は、全国の自治体向けに、自社開発のパッケージ商品を中心とした営業とサポートを行っています。事業部には営業部門、システム部門、事務部門があり、さまざまな役割のメンバーが活動しています。

これまでは顧客情報の管理を担当者が個別に行っていたため、情報の共有がままならず、担当者間や事業部内での連携が難しい状況でした。案件管理に使うツールも、商談の進捗やアクションプランは表計算ソフト、顧客訪問記録は別のアプリ、と統一されておらず、更新に手間がかかるだけでなく、顧客の状況を時系列で把握できていませんでした。

現在は顧客情報、案件や商談の進捗、訪問記録まで、全ての管理をSansanで行っています。必要な情報が全て登録されているので、担当者が変わっても、顧客の状況や過去の流れを即座に把握できるようになりました。特に営業部門は出張が多いので、いつでもどこでも最新の情報にアクセスできて助かっています。

項目選択をスマートに行える、タッチスクリーン機能付きのパソコンを全社で導入。商談や訪問の記録はSansanに入力している。

取り組みを経て、どんなことができるようになりましたか。

顧客の現在の状況を瞬時に把握できるので、より素早く的確なアクションが可能になりました。これまでは複数の事業部が、同じ顧客へ別々にアプローチすることが起きていましたが、今では別の事業部の活動が分かるため、それを知った上で戦略的な働きかけができています。また、顧客の担当者とその上司や部下との関係性が分かるようになり、顧客全体に対して、より効果的なアプローチができるようにもなりました。

顧客データの活用の幅を広げるために、まずはデータの一元管理を目指してきましたが、今や誰もが当たり前にSansanを使う状況になりつつあります。名刺管理が習慣化したら、次は営業戦略を練るために訪問記録を登録しよう、出張の報告にもSansanを使おう、と現場からも次々とアイデアが出ています。登録の習慣化は営業部門から始まりましたが、その後、システム部門も顧客との打ち合わせに関する情報を登録するようになりました。

DX推進によって、今後期待することを教えてください。

社内で蓄積された顧客情報の量は、まだまだ十分とは言えない状況です。今後、さらに情報が蓄積されていくことで、どのアイテムをどのタイミングで営業すべきか、どういった顧客に注力すべきかが可視化されると、もっと効率的な営業活動が実現されると思います。

名刺の取り込みといった担当者ベースで行える顧客情報の登録作業は、ある程度浸透したと感じています。表計算ソフトで管理してきた営業に関する数値や目標などは、ITツールの活用によって、営業担当者にとって見やすく、意味を理解しやすいものになりました。顧客情報を取り込んで参照し、データに基づいて計画を立てようという意識も生まれてきています。

DXのかじ取りをしているのはデジタル化戦略室やイノベーション推進室ですが、現場からも声が上がるようになってほしい。これからは、どういったデータが大切なのか、どういったデータを活用すべきかを理解して、各担当者がより効果的な利用方法を生み出すことを期待しています。そして、その次のステップとして、蓄積された顧客情報が全社の営業数値の集計や戦略的な取り組みの策定に貢献するように、事業部としても協力体制を強化していきたいと考えています。

interview

新潟のDXをリードし
地域経済を活性化したい

坂田 源彦
執行役員 イノベーション推進室長

DXの取り組みは社内にどのような影響を与えましたか。

会社が変わったかと言われたら、変わりましたね。BSNアイネットは歴史の長い会社ですが、設立から50年もたてば、新しい事業を興していかなければなりません。事業部の枠を越えて新規事業の創出に取り組む中で、社内のDXが進んでいないと戦略性に欠けるため、お客様だけでなく社内のDXを並行して進めていきました。これを担当したのが南雲で、もともと私と同じ部署にいました。

新しい事業で必要となった顧客情報の一元管理は、2020年のSansan導入によって実現することができました。さらに、その情報をデータとしてBIツールで可視化することで、営業戦略はもちろん、経営戦略の立案にも活用できています。

ただし、DXの取り組みにおいて最も重要なのは、人の意識改革だと感じています。短期間で成果を生み出せたのは、トップダウンによる指示だけでなく、社員一人ひとりが真剣に考え、意識を変えていった結果だと思います。今回の受賞によって、私たちのこれまでの取り組みが正しかったことが確信でき、大変うれしく思っています。

新潟市の中心部に本社とCreative Labを構える。新潟駅直結のイノベーション施設に入居する後者では、他社との交流が生まれている。

今後の展望を教えてください。

BSNアイネットはITを通じて、自治体、民間企業、ヘルスケア、教育といった分野にクラウドサービスを中心に提供しています。経営理念は「心に豊かさを」。信頼される技術集団として全国のお客様と事業共創していくことをビジョンとしていますが、新潟の地域経済を活性化し、地域課題を解決することも重要なテーマと捉えています。

新潟には中小企業が多く、DXを推進したくてもなかなか着手できていない企業が目立つのが現状です。当社はテクノロジーリーダーとして、これらの企業に対して、人材育成の観点も含めた普及活動を推進していきます。一方で、すでにDXに取り組んでいる企業に対しては、事業ドメインに深く刺さるテックを中心に、お客様のDXをさらに深化させるアプローチを進めていく方針です。

データ活用のビジネスに取り組み、お客様に提供することで業績を伸ばしてきましたが、新潟の経済圏を広げることも自社の成長につながります。社内のDXを加速させ、データを最大限活用できる経済圏を新潟に作る。そういった意味では、私たちのミッションはまだまだ続きそうです。

  • ※ ページ上の内容は2023年2月時点の情報です。