Sansan Innovation Award 2023
Sansan Innovator BO Prize

INTERVIEW

株式会社ボディワークホールディングス

1987年に創業し、日本で初めてリラクゼーションという分野を確立した株式会社ボディワークホールディングス。オフィス移転と社会情勢の変化によるテレワークの推進をきっかけにBill Oneを導入し、経理部門の業務効率化に取り組みました。9つのグループ会社を持ち、セラピストを含めて約4000名の従業員を抱える同社で、初めてグループ全社で共通利用するシステムとしてBill Oneを活用。経理部門のテレワークを実現させただけでなく、月末から20日後に提出していた月末締めの経理データを2日後に提出できるようになり、これまで以上に月次決算を加速させています。

  • 株式会社ボディワークホールディングス
  • 創業1987年
  • 従業員数45名(グループ総数400名/在籍セラピスト4000名超)※2024年2月末現在
  • 事業内容リラクゼーション事業
interview

「経理はテレワークできない」
という思い込みを覆せた。
変化に対して前向きになりました

受賞企業代表
吉村 恵
管理部 経理課 係⻑

経理部門が抱えていた課題の解決に取り組まれた経緯について教えてください。

2019年に、東京で開催される翌年のオリンピックに向けて、政府が時差出勤やテレワークなど働き方改革を推奨したことがきっかけでした。ちょうどその頃に、当社の社屋を移転することも決まっていたので、全社的に「それならうちもテレワークを進めようか」という話をしていました。2020年に入るとコロナ禍の影響もあって、否応なしにテレワークの推奨が始まりました。

ただし、経理については、請求書をはじめとした紙の書類を山ほど処理する必要があり、最初のうちは「在宅での作業はまず難しいだろう」という気持ちのほうが大きかったんです。

しかし、上司からかけられた「なんで経理はテレワークできないの?」という言葉で一念発起しました。どこから手を付けていくかを考え、ICTを導入し、テレワークをかなえるための環境を整えていったのですが、最終的に困ってしまったのが請求書の受領でした。

郵送で本社に届く請求書に関しては、誰かが出社しなければ開封することができません。さらに経理では、担当者ごとに仕分けした請求書を承認者に回してハンコを押してもらい、それらを1枚ずつ目視しながら振り込みデータを作るという作業を行っていました。とにかく郵送されてくる請求書の受領をどうにかしない限りは、どう考えても在宅勤務を実現することは100%無理だと思っていたので、半ば諦めのような気持ちもありました。

ただ、どうにかならないのかなっていうのはやっぱり心の片隅にはあって、そんなときに出会ったのが、Bill Oneでした。たまたまCMを観て気になって、問い合わせをしたんです。話を聞いて、まさに私たちの求めていたサービスだなと感じました。そこで、どんな課題を解決できそうかなどをまとめて上⻑にプレゼンし、導入に至りました。

活用の推進に当たっては、どのような工夫をしましたか。

当初は、9つあるグループ会社のうち3社だけでBill Oneを導入し始めました。経理課のメンバーはそれぞれ担当の会社を受け持っているので、1社ごとにBill Oneで請求書を受領した割合をグラフ化し、目に見える形で把握するようにしていました。

「私の担当会社は、あと少しで90%を超えられそうだな」「他の会社に比べて少し割合が低いから、働きかけを頑張ってみよう」というように、みんなで取り組んでいきました。その成果を賞与評価にも反映させたことで、さらに効果が上がり、メンバーのモチベーションを保つことにもつながったと思います。

2020年に本社を移転。グループ3社の機能を1拠点に集めることとなり、テレワークを進めるきっかけとなった。

社内外でどのような変化が起きましたか。

当社には毎月、グループ会社の分も合わせると約1300枚の請求書が届くのですが、以前はそのうちのほとんどが郵送されてくる紙の請求書でした。それが今では、請求書の9割以上をBill Oneで受け取れています。その結果、紙の請求書の処理にかかっていた工数を大幅に削減することができました。また、以前まで経理課のテレワークの日数はゼロでしたが、今では月の労働時間のうち50%くらいまで増やすことができました。もはやBill Oneは、本当になくてはならない存在です。

そう思っているのは経理課だけではありません。例えば、新たな会社をM&Aでグループ化したときなど、その企業の担当者から「早くこの会社でもBill Oneを入れてよ」と言われたりします。請求書の承認を担当する役職者は、「俺、出張ばっかりだし、請求書の確認はBill Oneがないと進まないよね」と話していました。経理だけでなく他の部署にとっても不可欠な存在になるとは、正直思っていませんでした。

請求書を発行していただく取引先企業側も、業務が楽になったと思います。企業によっては、普段はメールでやりとりしているのに、請求書だけは紙で郵送されてくる、といったケースも多くありました。そういった企業に「メールでもお送りいただけますよ」「Bill Oneで請求書を送付することもできますよ」とBill Oneでの対応をお願いしたんです。対応を切り替えていただいた後は、郵送によるタイムラグがなくなり、印刷代や郵送代も減った上に、やり取りがとてもスムーズになったと喜ばれました。

また、それまではグループ各社の業務形態に合わせて、それぞれ別のシステムを使っていることが多かったのですが、Bill Oneは、初めてグループ全体で同じシステムを使う事例になりました。さらに、Bill One導入の成功を受けて、経費精算システムも全社共通のものを使うようになり、業務がさらに効率化されたので、前例がなかった「共通のシステムを全社で使う」ことへの取っ掛かりになってくれたとも感じています。

Sansan Innovation Awardの受賞を振り返ってみていかがですか。

最初に知らせを聞いたときは、本当にびっくりしました。「本当ですか」と、電話口で何度も繰り返したと思います。でも、自分が取り組んできたことが認められたと感じ、とてもうれしかったです。

受賞をきっかけに、自分たちがやってきた取り組みを社内で広く知ってもらうこともできました。Bill Oneに取引先を登録するための情報提供は現場の社員にお願いしているのですが、受賞後は協力してもらいやすくなったと感じています。

今回の取り組みは、経理課のメンバーや、グループ各社の担当者の協力がなければできなかったことです。導入当初はノウハウも何もない中で、みんな一生懸命ついてきてくれました。最初は「経理が在宅なんかできるわけないよね」という感覚だったところから始まり、実際に「在宅できるようになった」という大きな変化を考えると、周りのメンバーには本当に感謝しかありません。

今後はどんなことに取り組んでいきたいですか。

今回の成功体験があることで、「このシステムを入れたらきっとうまくいく」というように、新たな取り組みも前向きに考えられるようになりましたね。

経理業務には、本当はシステムで対応できるはずなのに、アナログで行っている作業がまだたくさん残っています。特に、属人的になってしまっている入金管理業務においては、新しいシステムの導入で解決できることもあるはずだと思っています。RPAも導入し、自動化できる業務はどんどん自動化して、業務時間の無駄をどれだけ減らしていけるかに挑戦していきたいです。これまでは目の前の仕事をこなすだけでいっぱいいっぱいでしたが、今後は新たなことに取り組む時間も作っていけると信じています。

また、年に一度の決算業務を効率化することも意識しています。これまでは決算月が近づくと残業や休日出勤が発生していましたが、ギリギリまで作業をためず、いかに年間を通して業務を進め、楽にするか。今後はそれに向き合う時間も作っていけると考えています。

interview

月に40時間の工数削減で
業務の効率がアップ。
経理業務の付加価値を
高めていきたい

石坂 美波
管理部 経理課 主任

過去に経理部門が置かれていた状況について教えてください。

毎月1300通ほどの請求書がホールディングス宛てに届いており、開封して内容を確認し、各部署に振り分けて、決裁を回すという作業に多くの時間がかかっていました。請求書の決裁者が全国にいるので、わざわざ紙の請求書をスキャンし、PDF化して送ったり、グループ会社によっては拠点まで直接持っていったり、郵送で転送したりする手間もかかっていました。

でも、紙で請求書をもらうことも、それを見ながら手作業で支払い業務をすることも当たり前だったので、経理課が出社せずに仕事をするなんて絶対に無理だと思っていましたし、想像すらできませんでした。正直なところ、他部署の人たちがテレワークで仕事をしているのを見て、うらやましく思ったこともありました。

ご自身や周りの方の働き方の変化について、具体的に教えてください。

経理としては、請求書の受領から振り分け、承認のための回付、支払い処理までの一連の流れがBill Oneで一括管理できるようになったので、とても効率が良くなったと思います。しかも、これまで手入力していた数字が自動でデータ化されるようになったので、作業時間が短縮され、正確性も増しました。結果的に、Bill Oneを活用することによって、請求書の処理にかけていた時間を月40時間、削減することができました。

また、以前はテレワークをするとなったら、前日に自宅で確認する分の請求書をスキャンしてPDF化する必要がありました。結果として、その作業のために残業が発生するという本末転倒な状況も発生していましたが、そうした無駄な工数もなくなりました。

私の場合、通勤に片道2時間かかるので、テレワークによって単純計算で1日4時間、自由に使える時間が増えることになります。家できちんとご飯を食べたり、お風呂にしっかり浸かれる時間を取れるようになったりと、ワークライフバランスの充実にもつながっています。

また、経理課でない決裁者の方々から、「時間的にも気持ち的にも楽になった」という声をいただいています。出張中でもBill Oneで請求書の内容が確認できるので、決裁にかかる時間が短縮され、承認もスムーズに進んでいます。導入当初は、紙の請求書と同じように「ハンコを押したい」という声が多く聞かれたのですが、オンライン上で電子印を押すというBill Oneの体験もうまくはまったのかなと思います。

メンバーはそれぞれグループ会社の経理を担当し、Bill Oneによる請求書の受領率を上げるために各社に働きかけ、その推移を追っている。

これから取り組んでいきたいことについて教えてください。

振り返ってみると、ペーパーレスが推進されている現代において、「紙が当たり前」だと思って仕事をしていたなと感じます。以前は、経理のデジタル化と聞いても、「紙の請求書をPDF化してメールで送る」程度しか想像できませんでしたが、Bill Oneを活用するようになり、実際の業務に変化があったことで、経理業務も本当にデジタル化できるんだと実感しました。

今後は、RPAの導入を進めつつ、単純作業をさらにデジタル化しながら、それ以外の部分で経理課として付加価値のある仕事に取り組んでいけたらいいなと思っています。例えば、経営状況に関わるさまざまな経理データを分析し、経理の目線から、利益をあげるためのアドバイスやサポートをするなど、そういった業務に効率化によって生まれた時間を使っていきたいですね。

interview

管理部門の成長を礎に
長きにわたって変わり続ける
「100年企業」を目指したい

山本 耕
取締役

受賞の一報を聞いた際の率直な感想を聞かせてください。

普段はなかなか光が当たることのないバックオフィスの取り組みが注目され、Sansan Innovation Awardを受賞できたことには深い感動を覚えました。吉村が満面の笑顔で受賞の報告に来てくれたのですが、私自身も笑みがこぼれていたんじゃないかと思います。

私たち、ボディワークホールディングスは、リラクゼーション業界の発展とともに成長してきた企業です。成熟しつつある業界において今後さらに上を目指して行くには、成長の基礎を作る管理部門の成長が欠かせません。

そういった意味でも、われわれ管理部門の成長が目に見える形となった今回の受賞は、グループにとってとても大きな一歩だったのではないかと思います。

一連の取り組みを振り返ってどう感じますか。

当社は、主にリラクゼーション事業を展開し、国内に9社あるラフィネグループ各社の本社機能を担っている組織です。主要事業であるラフィネは540店舗ほどあり、それに加えて、約200の温浴施設においてリラクゼーション業務を請負っています。

企業理念として「会社を取り巻く総ての方々との共存共栄を大切にし、新しい価値を創造します」という言葉を掲げています。「共存共栄」は特に重要なキーワードになっており、従業員一同、日々の業務でそれを実行しています。さらに当社では、経営において、「スピード・クオリティ・システムを革新します」という成長方針も掲げています。中でも、スピードは最も重視しているものです。

今回の取り組みの結果、経理課が出してくれるデータの正確性、何よりスピードは格段に上がりました。毎月2日の午前中に開かれる会議で、前月末締めの経理データをほぼ正確な数字で見られるようになりました。これは、すごい成果です。こうした経理業務の効率化は、迅速な経営判断、意思決定を行うのに一役買っています。

スピードが上がるということは、仕事に余裕を持てるようになるということにつながります。そして、従業員一人当たりの業務の幅が広がることにもなり、業務全体の理解が深まることにもつながっていくことだと考えています。目の前の作業をするだけで精一杯の状態から、全体を見渡しながら振り返ったり、改善したりできるようになることで、業務の精度も上がり、確実に良い影響が生まれるはずです。そして、一人ひとりのスピードアップが波及して、やがて周囲を巻き込んでいくことになっていくと思います。

今回の事例で言えば、経理部門がBill Oneを活用してテレワークの推進や業務効率化を進めていった中で、他部門やグループ会社と連携しつつ、取引先にも自ら働きかけて、お互いがより便利に仕事を進められる環境を作っていきました。まさに「共存共栄」と言える環境を実現できたのではないでしょうか。

こうした管理部門の成長に比例して、ラフィネグループもさらに成長していくことができると考えています。

経理データを見るまでにかかる時間が20日から2日に短縮されました

会議室に掲げられている企業理念。社内に限らず取引先を含めた「共存共栄」を実現することで、さらなる発展を目指す。

今後、企業として目指していきたいことについて教えてください。

われわれは「人対人」の事業をずっと続けてきました。今後もやはり、それを大切にしていきたいです。そのためには、会社の基礎となる地盤固めが重要だと実感しています。

たとえ素晴らしい理念や思いがあっても、それを支える地盤がなければ安定して成長していくことはできません。バックオフィスのDXはそのための手段として欠かせないものです。今回の取り組みを通じて地盤が整ってきたことで、営業部門やセラピストも業務により集中できる環境が整い、スピード感のある行動や正確な判断に基づいた指示などが全社的に増えました。Bill Oneの導入前に比べて、グループ全体がとても大きく成長したなと感じています。

われわれが目指しているのは「100年企業」の実現です。言葉で言うと短いですが、永続的に人々の心と体の健康に寄り添いながら存続していくためには、成長し続けなければなりません。変化する社会と多様化するニーズに対応しながら、長きにわたって変わり続ける企業でありたいと思っています。

  • ※ ページ上の内容は2024年6月時点の情報です。