Sansan Innovation Award 2022
Sansan Innovator
INTERVIEW
- 株式会社ベルシステム24
- 設立1982年
- 従業員数グループ連結:社員1万920名(2023年2月28日時点)
- 事業内容CRMソリューションに関するアウトソーシングサービス、テクノロジーサービス、コンサルティングサービス、人材派遣事業、有料職業紹介事業・CRO事業やインターネットその他メディアを利用した各種コンテンツの企画・制作・販売・サービス運営
DXとは
マインドやカルチャーを
変えていくもの
マインドやカルチャーを
変えていくもの
受賞企業代表
川崎 佑治 氏
業務統括本部 デジタル&クリエイティブ局 局長
受賞を振り返ってみていかがですか。
Sansan Innovation Award受賞の一報は、率直にうれしかったです。受賞を通して、他社もこういう観点で苦労をしているんだ、こういう課題を解決したいと思っているんだというお話をできる機会が増えたこともうれしく思っています。
また、受賞により、多くの社員が「すごいことなんだな」と思ってくれるようになったことも大きな収穫でした。「アカデミー賞を取った作品だ」と言われるとその映画を見たくなるのと同じように、Sansan Innovation Awardを受賞したことで、DXに向けた取り組みへの社員の関心や理解が深まったと思います。
DXの取り組みを行ったきっかけについて教えてください。
当社はマーケットに恵まれており、優秀な営業担当者もたくさんいたことから、かつては「個人の頑張りでどこまでも売り上げを伸ばしていく」という営業スタイルが多かったように思います。ただ一方で、売り上げは景気に左右されることもありますし、営業人員の世代ごとに持っているスキルに差があったりして、営業力にバラつきが生まれます。会社が大きくなっていけばいくほど、全員に同じ営業力が求められるので、こうしたムラが出てきたことが課題でした。
営業が最大の武器としているのは、「誰が、どこで、いつ、誰に会っているのか」という情報です。まずはその情報にムラがないようにしたいと思いました。
そこで、コミュニケーションプラットフォームで全社をつないで、スピーディーに連携を図れるようにしました。当社は1000社以上のクライアントとのお付き合いがありますが、「一部署が知り得た情報を、他の部署も同時に知る」という状態を作ることを目指しました。
取り組みを進めるに当たって、苦労したことや意識していたこ とはありますか。
Sansanに関しては、導入するまでの苦労は感じませんでしたが、導入後に「なぜSansanを使わなければならないのか」という声も聞かれ、実際に使ってもらうことに対するハードルの高さを感じたことがありました。
そこで、例えばオンライン名刺交換の利用を促進するために、「オンライン名刺交換“祭”」とタイトルを付けた社内イベントを開催するなど、とにかく最初の一歩を踏み出してもらうためのさまざまな取り組みを行いました。
また、一連の取り組みを進める上で注意していたのは、「営業の邪魔をしてしまうようなテクノロジー活用になっていないか」ということです。営業が新規顧客を開拓したとして、その熱量のままスピーディーに進めたいのに、ツールへの情報登録など面倒な手続きが立ちはだかると、急速に熱は冷めてしまいます。当社ではSansanとSFAツールを連携させて、ボタン一つで必要な項目が全て入力できるようにしています。
取り組みによって、会社にどのような変化がありましたか。
一連の取り組みによって、営業スピードが上がりました。
私も「川崎さん、○○さんの名刺を持っていますよね。紹介してもらえませんか」と言われる機会が多くなりました。そうした動きが社内のあちこちで起きるようになり、アプローチできる件数が格段に増えたと思います。
また、今までの対面営業で培われた営業スキルは引き続き有効である一方で、新たに知ることができる情報群が増えました。その情報を見て、「データがこうなっているから、こういうアクションをしよう」という行動が生まれてきたんです。データ活用が営業スキルの一部になってきていることは、最も本質的な変化だと思います。
DXはツールの導入そのものではなくて、その会社で働いている人たちのマインドやカルチャーを変えていくものです。そして、集団の戦い方を変える。そこが一番難しいところですが、「データって、めちゃくちゃ使えるんだな」、あるいは「今までのやり方を捨ててもいい」と思えるぐらい、デジタルにもっと可能性や親しみを感じてもらうことが必要だと考えています。
情報を共有することが
営業にとっての
武器になると気付きました
営業にとっての
武器になると気付きました
稲角 寛治 氏
業務統括本部 デジタル&クリエイティブ局 マネージャー
取り組み前に感じていた課題について教えてください。
ベルシステム24は、39の拠点やセンターを全国各地に構えています。そんな中で、実は隣の部門がどんな業務を担当しているのか、どんな人がいるかということを知らないケースも多くありました。会社が大きくなるにつれて、横のつながりや連携が少なくなっていることが大きな課題だと思っていました。
その課題を解決するために、コミュニケーションプラットフォームを整備したり、Sansanなどのデジタルツールを導入したりすることで、部門間の交流が生まれるような仕掛けを作っていきました。
Sansan導入時の主な目的は、本社移転を契機とした、全社的なペーパーレス化の推進です。しかし、その後、さまざまなことが便利になっていくにつれて、「取り込んだデータをどう活用していくのか」といった営業のプロセス自体を進化させるところに、目的が変化していきました。
DXに取り組んだことによって感じた変化はありましたか。
Sansanをはじめとしたツールを使っていくにつれて、営業の現場の社員からも「こういうふうにデータを使えないか」といった意見が上がってくるようになり、特に若手の営業を中心としてさまざまなツールの使い方が生まれました。
例えば、営業戦略を立てるに当たって、Sansanのデータを見てからアカウント戦略を立てていく、というような使い方が広がっています。Sansanを見た社員から「この人を紹介してほしい」という連絡が私のところに来ることもあります。
デジタルツールに蓄積した情報は、オンライン、オフラインを問わず、営業にとって大きな武器になるんだなと実感しました。「データを使ったらこんな便利なことが起こる」という気付きが少しずつ広がり、営 業全体の意識が変わったと思います。
約500名いる営業社員に多様なツールを推奨し、しっかり使ってもらう仕事は非常に大変なことではありますが、やりがいも感じています。
これから実現したいことについて教えてください。
現在はデジタルツールを約20種類使っており、今後、より増えていくことになると思っています。すでにSansanとSFAツールの間でさまざまな情報を連携させて、コミュニケーションプラットフォームへ情報を届けるという仕組みを作り始めました。
今後はそういった仕組みを進化させて、社員一人ひとりが何もしなくても欲しい情報を自然に受け取れるようにしていきたいと思っています。
社内の接点を生かすことで
営業効率が上がりました
営業効率が上がりました
萩原 聖名子 氏
第3事業本部 営業企画部 営業開発2G
営業担当者として、取り組みの前後で変わったことはありますか。
一言で言うと、とても営業しやすくなったと思っています。
私は入社4年目で、新規顧客の営業を担当しています。若手の社員は顧客とのコネクションがなく、先輩からつないでもらうことが多かったために、営業活動に必要な情報を収集するのにとても時間がかかっていました。それに、顧客との接点のある・なしは把握できても、過去にどんな会話をしたのか、どの程度深い接点があるのかまでは分かりませんでした。
今ではSansanによって、他の部署で交換した名刺の情報や商談の内容まで確認できるので、アプローチの幅が広がりました。接点のない相手に営業するよりも、Sansanで情報を確認して社内から顧客を紹介してもらう方が営業しやすく、圧倒的に営業効率が上がっているのを実感しています。
周りの様子や働き方は、どのように変わりましたか。
以前は部署間の連携が全くありませんでしたが、社内接点をうまく活用する方が効率が良いとどの営業担当者も気付き始め、意識が変わりました。
Sansanを見れば、誰がどのくらい名刺を持っているかという情報が一目瞭然です。また、商談に限らず、例えば勉強会に参加した際に名刺交換した相手も登録できるので、あらゆる接点を営業に生かせるんです。初めてお会いするお客様でも、Sansanで事前に情報を得ることで、会話の引き出しを増やすことにつながっています。営業部内では、今まで以上にSansanの活用が活発になっていくと思います。自分も名刺情報を積極的に取り込んで、まずは社内の人から頼られるようになっていきたいです。
間違いなく、一気に
みんなが同じ行動を
取れるようになりました
みんなが同じ行動を
取れるようになりました
呉 岳彦 氏
取締役
DXの取り組みを振り返っていかがですか。
ベルシステム24は、コンタクトセンターのリーディングカンパニーとして40年の歴史を持つ、人に対して丁寧な会社です。つまり人の影響力が大きく、チーム力がある会社なので、動き出すと変化が速いことが強みです。
以前は、変えていくのが怖いという感覚もありました。しかし、さまざまなツールを連携させ、国内外にいる約4万人の従業員が標準的に使えるようになるにつれて、変化への抵抗感は薄くなってきたように思います。
テクノロジーによってスピードとスケールがアップし、ギアが1段上がったような感覚があります。間違いなく、一気にみんなが同じ行動を取れるようになりました。この力をうまく使って会社の変革スピードを上げていくことに、大きな可能性を感じています。
今後、さらに取り組みを発展させていくために考えていることはありますか。
テクノロジーを使った新たな取り組みとして、当社が提供しているクラウド型の音声基盤プラットフォームでは、音声を分析して傾向値を読み込み、現場に還元していく挑戦をしています。優れたオペレーターの技術を標準化することができれば、コンタクトセンターに電話をかけるエンドユーザーの方たちのCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させることにもつながります。
一方で、4万人規模の従業員を抱える会社として、「業界全体をいかに変えていくか」というところも使命感を持っています。
われわれは、コミュニケーションを大事にしてきた会社です。だからこそ、デジタルの力を使って、コミュニケーション領域やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の領域にいかにイノベーションを起こせるかというところに、チャレンジし続けたいと思っています。その領域でリードを取っていきたいというの が、一番の思いです。
- ※ ページ上の内容は2023年3月時点の情報です。