Sansan Innovation Award 2021
Sansan Innovator
INTERVIEW
- 株式会社ユニオン
- 設立1958年
- 従業員数130名(グループ総数160名)
- 事業内容ドアハンドルやクロセットドア(収納スペース用ドア)など建設環境金属製品の製造・販売
他社に先駆けてやるなら
「今しかない」という思いが
成果につながりました
「今しかない」という思いが
成果につながりました
受賞企業代表
石丸 晶教 氏
大阪支店 支店⻑
受賞を振り返ってみていかがですか。
とても誇らしく思います。取り組みを行っていた当時はもう無我夢中で走り続けていましたが、その活動を外から評価してもらえたことは本当にうれしかったです。
当社代表の立野からは、常に「絶対に二番煎じはやるな」と言われていて、何でも最初にやることが社風です。今回のDXの取り組みに関しても、他社に先駆けて、本当に「今しかない」という思いで進めていったことが、成果につながったと思います。
受賞をきっかけに、同業である建築業界の方からお祝いの声を掛けていただくこともあり、取り組みの話を共有するなど交流が生まれています。以前は、社内のノウハウをオープンにして他社に共有することには抵抗がありました。しかし、Sansan Innovation Awardの受賞企業をはじめ、コミュニティーの中で同じ悩みを抱えているユーザー同士が一緒に課題を解決しているシーンがあることを知り、目からうろこが落ちるような気持ちでした。
DXの取り組みを行う前に抱えていた課題について教えてください。
建築業界は、一つのプロジェクトの期間が非常に長いことが特徴です。大型プロジェクトであれば、計画段階から竣工まで3年から5年ほどかかるので、一人がプロジェクトを担当する期間もおのずと長くなり、属人化が進んでしまいます。顧客の情報は、プロジェクト担当者個人の机の引き出しにある名刺と、頭の中にあるものが全てでした。整理された顧客データが満足になく、営業やお知らせのメールが送れなかったり、担当者が変わったときにうまく引き継げなかったりするケースが往々にしてあり、課題に感じていました。
そのため、顧客情報をデータ化し、顧客リストを作ることを一番の目的としながら、後には顧客データをみんなで共有することで会社の財産にしたいと考え、Sansanを導入しました。
Sansanは名刺の管理を行うツールだと思っていましたが、導入に当たって話を聞いてみると、われわれが抱えていた他の課題を解決できる機能があることも知りました。具体的には、一つ目に、顧客を業種別にタグ付けする機能。二つ目に、特定のタグを付けた顧客だけに絞り込んでメールマガジンを送付する機能。そして三つ目に、導入当時にちょうどリリースのタイミングでもあった、オンライン名刺の機能。これらの機能は、対面での営業ができなくなったときの切り札になると思い、導入を決定しました。
DXを推進するに当たって、工夫したのはどんなことでしたか。
一番大事なのは、ツールを楽しんで使ってもらえるような環境をいかに整えるか、ということだと思います。
実は、Sansan導入当初の利用率は、全社員の3分の1程度にとどまっていました。その状況に、推進担当者としては危機感があり、利用率を上げるために対面でSansanの勉強会を行いました。
勉強会の参加者には、自分の名刺をスキャンしてくるように伝えました。2018年に会社創立60周年を迎え、プロのカメラマンが撮影した社員の顔写真があったので、その場で自分の名刺と顔写真を設定したオンライン名刺を作り、設定を完了させることにしたのです。
その結果、若手の社員を中心に、メールの署名欄でいかにオン ライン名刺をクリックしてもらえるかを意識したアイデアが生まれるなど、楽しみながら競い合うような風潮が生まれ、社内に浸透していきました。
取り組みによってどんな変化がありましたか。
Sansanでの名刺管理をはじめ、メール配信やオンライン名刺、それからコンタクトといった機能を活用して営業活動を行うようになりました。商談後すぐに名刺をスキャンして、そのまま商談内容を入力できるという効率の良さが、特に若い社員に響いたようで、彼らが牽引役となってDXが進んでいきました。
DXを通して若手の成長が見られたことは、とてもうれしい変化でした。例えば、コロナ禍で始めたウェビナーも、若手社員の発案です。建築業界で、しかもわれわれの規模でウェビナーを開催することはハードルが高いと感じていたのですが、「 コロナ禍で対面営業ができない中で新しい顧客を開拓するためには開催するべき」と若手社員から背中を押されて、取り組みを始めました。
そういった変化も後押しとなり、請求書管理を効率化するためにBill Oneを導入するといった具合に、どんどんと加速度的に社内のDXが進んでいきました。Sansanの導入から2年後の2022年には、新規顧客開拓にも顧客データを活用するために、デジタルマーケティング室を新設しました。
現在、国内マーケットでは大きなシェアを取れています。しかし、世界を見渡せば、ものすごく大きなマーケットが広がっています。今後の一番の課題は、海外に向けた営業活動で、デジタルツールをいかに活用していくかだと思っています。デジタルの力を使って顧客のデータを取得し、その顧客へ効率的にアプローチできる環境を整える。世界に向けて発信していくには、対面営業では限界があるので、やはりデジタルが欠かせません。
部門の垣根を越えて
活発に動けるようになりました
活発に動けるようになりました
中原 也裕 氏
大阪支店 営業部 営業2課 課⻑
DXの取り組み前に感じていた課題と、取り組み後の変化について教えてください。
コロナ禍以前は、アナログな営業活動を行っていて、会って話をすることを大事にする「対面至上主義」ともいうべき状況でした。コロナ禍で対面営業ができなくなり、オンラインの営業が主体になるというときに、これまで蓄積していたはずの顧客データが全く整理されておらず、使える状態にないことに気が付きました。
メールを送ろうにも顧客リストがないので送れない。新製品の発売や、配置替えによるプロジェクトの引き継ぎなど、お客様に対してどのようにアプローチをかけていけばいいのか分からない。そんな状況からのスタートでした。営業に行けない期間、社内にこもって古い引き出しを開けて、名刺を集めて、その情報を1件ずつリストに手入力するという作業をしたこともあります。
顧客データが整理されてからは、部門の垣根を越えて、一人ひとりの社員が活発に動けるようになったと感じています。個人で持っている名刺はせいぜい数百枚ですが、全社で集めてみ ると10万枚近くあることが分かり、それだけの潜在顧客に対してさまざまなアプローチで営業活動ができることを実感しました。
営業活動における変化について、具体的に教えてください。
視野が変わったというか、営業として「このデータをどう生かして、営業につなげていくのか」という視点が生まれました。対面営業以外に、メールマガジンやウェビナーの案内を送ってみようというマインドも生まれました。コロナ禍によって対面営業ができないという制限の中で、新たな視点を持てるようになり、良かったと感じています。
ウェビナーを始めたきっかけは、若手社員が興味を持ってSansanのセミナーに登録し、「やってみたい」と声を上げたことでした。若手社員がそうした発言や行動をするようになったことも成果の一つです 。さらにはウェビナーを通して、それまで聞き取れていなかった顧客の声も聞くことができるようになりました。弊社の営業が足を運んでも取れなかったであろう地域や規模の注文を、オンラインで獲得した事例もあります。
若手のみならずベテラン社員も、自分なりになんとか頑張って新しいツールを使ってみようとしていて、会社全体のマインドが変わってきているのを感じています。私自身も試行錯誤しながら、会社が変化する動きを止めないよう、新しいものをどんどん取り入れて改善していきたいと思っています。
業務が効率化され
本来やるべき仕事に
注力できるようになりました
本来やるべき仕事に
注力できるようになりました
若林 慎吾 氏
管理部 管理課 兼 情報システム室 室⻑
Bill Oneを導入することになった経緯について教えてください。
大きなきっかけは、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度といった法対応です。Sansanを導入していたこともあって、Bill Oneがリリースされたことをいち早く知り、早速トライしてみたいと思いました。
また、Sansanの導入によって、営業担当者たちがITツールを使って営業活動をするようになりました。彼らの営業スタイルが180度変わったのを目の当たりにして、われわれバックオフィス部門も、それに合わせて変わっていくのが当然だと感じました。
Bill Oneを選んだ理由として、Sansanの導入実績を踏まえて、セキュリティー面やデータ化の精度に対する信頼感を持っていたことがポイントになりました。また、ツールを選ぶ際には「その企業が何をミッションとしてサービスを提供しているのか」を重視しています。新しいツールを導入することで単に便利になるだけではなく、シナジーを生み出して、一緒に未来を作っていきたいという思いからで す。
ツールの利用によって、業務はどのように変化しましたか。
Bill Oneの導入前は、ほとんどの請求書を紙で保管していました。倉庫に保管している年間3000枚以上の請求書を再び見ることはほとんどないのに、保管のためだけにスペースを使わなければならないことは、会社として大きなマイナスだと感じていました。Bill Oneの導入によってペーパーレス化が進み、この課題が解消されました。さらなるメリットとして、クラウド上で管理することにより請求書の検索性が上がり、同じ請求書の重複処理を防ぐこともできるようになりました。
名刺をSansanで、請求書をBill Oneで、というように業務のベースにあたる部分をフォーマット化することで、業務効率は格段に上がります。名刺を管理したり、営業活動に必要なデータを入力したり、請求書業務を処理したりする能力が2倍、3倍に増えることになるからです。業務効率化によって生まれた時間は、本来人がやるべき仕事に充てるのはもちろん、人でしか感じられないアナログな体験にも使っていきたいです。
一連の取り組みについては、どのように捉えていましたか。
新しいシステムの導入は、それまでやってきたことを、ある意味で否定することになります。営業担当者からすると、自分が交換してきた数百枚、数千枚の名刺を全社で共有させてほしいとなれば、当然抵抗感もあったでしょう。そんな中でも、石丸が中心となり、信念を持って取り組みを推し進めていました。きっと、見えない部分での努力が大きかったのだろうと思います。
ユニオンは、その時代に合わせて人が変化できる会社です。過去の自分たちが時代にふさわしい取り組みをしていたと言えるからこそ、そこから変化した今の自分たちを正当化できるし、未来の自分たちを想像しながら働ける。これを強みに、新しい取り組みにどんどんチャレンジしていきたいです。
新しいものを取り入れながら
世界で通用する企業へ
世界で通用する企業へ
立野 純三 氏
代表取締役社⻑
DXの取り組みにおいて、会社としてどんなことを大事にしていましたか。
当社は、1946年に立野商店として創業し、1958年にユニオンという社名と商標でドアハンドルの専業メーカーとしてスタートしました。そこから、商品自身にもっと芸術性を持たせて、例えばハンドルを握ったときに「この触り心地はいいな」と感じてもらえるようなものを作っていきたいという思いで、ArtとHardwareで「ARTWARE(アートウェア)」という言葉を作ったんです。
企業経営において大事にしているのは、私が先代から言われた「とにかく早く、誰もやってないことをやれ」という言葉です。社員にも、「二番煎じはだめだ」「何か新しいもの、目につくことをやってほしい」ということを徹底して言い続けてきました。
今回の取り組みも、そうした精神で新しいことにチャレンジした結果だと思っています。ツールを導入してから、やはり変わったと感じるのは、無駄がなくて効率が良くなったということです。さらに、社内全体で情報の共有ができるようになったのは、非常に素晴らしいことだと思います。
これから実現したいことについて教えてください。
私自身、35年以上前にテレビ会議を導入するなど、新しいものを取り入れたり、チャレンジしたりすることがとても好きなんです。コロナ禍ではテレワークが進みましたが、行動制限が解除された今でも続けるように言っています。対面営業の良さももちろんありますが、テレワークやデジタルツールによる効率化を、会社が大きく変化し成長する契機だと捉えることが大事です。
例えば、これまで会いに行くのに日数がかかっていた海外の建築家ともリモートでつながることで、彼らが持っている新しい情報や考え方について聞く機会が増え、商品開発や新規事業などさまざまなものに結び付けられる可能性が高まります。
今後もとにかく早く、新しいツールや素晴らしいシステムを導入して業務に生かし、いかにお客様に返していくかを意識していかなければならないと考えています。
そうした挑戦を続けていくことで、新しい時代をリードする社員を育て、世界のどこへ行っても「ユニオン=ドアハンドル」のブランドが通用するような「世界のユニオン」になることを目指していきたい。そう思っています。
- ※ ページ上の内容は2023年5月時点の情報です。